生きていくなんてわけないよ

とあるディズニーオタの要らんことしいの知らんこと言いのブログ

本当に再評価されるべきディズニー作品は「リロ・アンド・スティッチ」である

みなさんは「ウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオ作品」と言われると何を思い浮かべるでしょうか。

ウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオ作品」とはウォルト・ディズニーが製作した世界初の長編カラーアニメーション作品である「白雪姫(原題:Snow White and the Seven Dwarfs)」から始まる作品群であり、現在は最新作「モアナと伝説の海(原題:Moana)」まで全56作が劇場公開済みです。

 

初期の名作である「白雪姫」「ピノキオ」「ファンタジア」「ダンボ」「バンビ」や、第一次黄金期と呼ばれた「シンデレラ」「ふしぎの国のアリス」「ピーター・パン」、ウォルトの死後不遇の時代を経て始まる第二次黄金期の「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「ライオン・キング」、そして再び低迷したのちピクサージョン・ラセターをチーフクリエイティブオフィサーに迎えた*1現在の第三期黄金期の「塔の上のラプンツェル」「アナと雪の女王」「シュガーラッシュ」「ベイマックス」「ズートピア」などなど・・・ここには載せきれませんがたくさんの名作があります。

 

 そして、前述した通りディズニーアニメーションスタジオは常に絶好調というわけでなく、様々な要素により興行収入が低迷した不遇の時代を経験しています。

しかしながら、不遇の時代の中にも質が高く皆に評価されるべき名作があることも確かで、ディズニーファンたちは常日頃から「〇〇はもっと評価されるべき」とやきもきしながら生活しています。たぶん。

三人の騎士」だったり「きつねと猟犬」だったり「ビアンカの大冒険2」だったり「ノートルダムの鐘」だったり「トレジャー・プラネット」だったり「プリンセスと魔法のキス」だったり。

 

僕もいっぱしのディズニーオタクなので、そういう気持ちは大いに持っています。そして僕からも改めて評価されるべき作品を提案したいと思います。

その作品は「リロ・アンド・スティッチ」です。

目次

 

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今はなきパレード「ジュビレーション」のスティッチ。




不遇の作品「リロ・アンド・スティッチ

え?「リロ&スティッチ」ってめちゃくちゃヒットしたじゃん?グッズも超出てるし!という方が大多数だと思います。わかります。でも訂正させてください「リロ・アンド・スティッチ」です。でも英語タイトルは"Lilo & Stitch"だから超ややこしい。ちなみに「不思議の国のアリス」は原作でディズニー日本語版の正式タイトルは「ふしぎの国のアリス」です。

決して「一番好きな作品」が「リロ・アンド・スティッチ」というわけでもないですし、前述した56作のディズニーアニメを全て見たわけでも、かなりたくさん作られているスティッチのテレビシリーズを全て見たわけではありませんが、勝手に「映画『リロ・アンド・スティッチ』は不遇の作品だ、再評価されるべき」と思っているので今回この記事を書くに至りました。もしかしたら勘違いかもしれないです。

なぜこの作品が不遇なのか、順に説明していきたいと思います。

 

当時のウォルトディズニーアニメーションスタジオ

リロ・アンド・スティッチ」が公開されたのは2002年。2000年代のウォルトディズニーアニメーションスタジオは親会社であるディズニー社の後継問題による混乱のせいで興収がかなり低迷していて、関連会社のピクサー(現在は正式に子会社)の作るフルCGアニメーション(「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」など)やライバル社であるドリームワークス(「シュレック」等)に押されっぱなしの時代です。

リロ・アンド・スティッチ」は不遇の2000年代の中でも比較的初期ので、大ヒットしたこともあり「これでWDASの低迷も終わるか」と思われていたのですがそうはいきませんでした。

ちなみにこのころの作品群は「ファンタジア2000」「ダイナソー」「ラマになった王様」「アトランティス/失われた帝国」「リロ・アンド・スティッチ」「トレジャー・プラネット」「ブラザー・ベア」「ホーム・オン・ザ・レンジ/にぎやか農場を救え!」「チキン・リトル」などです。(「ルイスと未来泥棒」〜「プリンセスと魔法のキス」あたりも低迷期なのですが、ここからジョン・ラセター体制に切り替わるため割愛)

さて、皆さんこの中で知っている作品はいくつありますか?前述した「トレジャー・プラネット」や「ブラザー・ベア」など良質な作品もありますし「ラマになった王様」など今までのディズニー映画と一線を画すようなインパクトの作品もあるのですが、やはりネームバリューでいうとパッとしない作品が多いのが実際のところです。

また、当時スタジオを仕切っていたのがウォルトの甥のロイ・E・ディズニーという方で、ウォルト生誕100周年の時期と重なったためか「ファンタジア2000」「アトランティス」「トレジャー・プラネット」などのウォルトリスペクトなテーマで作られた作品が多いのも特徴です。

「ヒットしてしまった」という呪縛

そんな不遇の時代にもこの「リロ・アンド・スティッチ」は大ヒットします。それは日本でも例外ではなく、かなりたくさんのグッズや関連商品が作られました。

 

そこです。

「スティッチ」というキャラクターの、いわゆる「キモカワ要素」が先行してしまった結果、ドン・キホーテやゲーセンで手に入れたスティッチグッズ身につけるギャルやヤンキーが巷に溢れ、スティッチが「ギャルやヤンキーが好きな、よくわからないキャラクター」となり、作品がないがしろにされてしまったのです。

 

また今までのディズニーキャラクターの多くが人間や動物、実在する生き物をモチーフにしていたのに対し、スティッチは「エイリアン」「宇宙人」「実在しない生き物」であり、今までのディズニーキャラクターとは性質がかなり異なっていました。そんな得体の知れないキャラクターが突然大ヒットし、ディズニーファンが愛するディズニーパーク(東京ディズニーランドなど)にまで登場してきたため、古き良きディズニーランドを愛するパークファンの反感を大いに買うこととなりました。

 

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古き良きアトラクションがスティッチ化した顕著な例。しかしスティッチ化する前もライオンキングやアラジンの鳥が居るバージョンでありオリジナルではないのでなんとも言えない。スティッチ好きな筆者でも、今夏にアナハイムでオリジナル版を体験しすっかり虜になってしまったので悩ましいところである。

 

これにより、「リロ・アンド・スティッチ」という作品に対して、世間一般の「グッズが可愛いからスティッチが好き、けど映画は見たことない」「なんかヤンキーが好き好んで身につけてるよくわからないキャラクター」という層と、ディズニーファンの「キャラが気持ち悪いし、新参キャラのくせにでしゃばるから好きじゃない」という層が比較的多くいるような印象を受けます。

売れてしまったことによる「押し売り」の反動。「ヒットしてしまった」という呪縛です。

悲しいかな、オタクと言うのは残念な生き物で、よりマイナーなものを評価して「〇〇を知らないなんてわかってない」と言いたい生き物なのです。ディズニーオタクの中でも「売れてしまった作品」を極端に毛嫌いする人も多く、とくにスティッチはそのキャラクターの性格からもディズニーファンからも嫌われてしまう、というかわいそうなポジションでした。

もちろん、「リロ・アンド・スティッチ」という映画作品が好きな方が数多くいることも承知です。ですが、もし見ず嫌いをしているのなら、それはすごく勿体無いと思うのです。

リロ・アンド・スティッチ」のここがすごい!

では「リロ・アンド・スティッチ」の魅力、作品としてどう優れているのかをここで解説したいと思います。

本当は暗い「リロ・アンド・スティッチ

リロ・アンド・スティッチ」という作品は終わりこそハッピーエンドであるものの、そもそもはかなり暗い作品です。

主人公リロは両親を事故で亡くし自暴自棄になった結果、友達とうまく付き合うことができず、仲間はずれにされてしまうキャラクターです。友達と喧嘩し、児童保護施設に目をつけられ、それが原因で姉とも喧嘩した後に見た流れ星(本当は墜落するスティッチの宇宙船)を見て彼女がつぶやくセリフは

お友達をください。

逃げていかない友達。

天使でもいいなぁ。

というもの。この願いが悲痛すぎて、視聴者は序盤から胸を締め付けられるのです。

 

その親代わりの姉・ナニは、リロに手を焼かされ、児童保護施設の担当者コブラ・バブルスに目をつけられてしまう上、リロのことで精一杯で仕事をクビになったり、想いを寄せているデイヴィットにデートに誘われてもリロのために断るなど、まともに恋愛もできないでいます。

スティッチは主人公ではない。

そう、この作品の一番の注目のポイントは「スティッチは主人公ではない」というところです。

彼は最終的にリロとナニの一家の絆を再確認させ、修復する役割を持ちますが、本来観客が感情移入するべきキャラクターはリロとナニの二人であり、特にナニというキャラクターはこの「リロ・アンド・スティッチ」という作品を大人でも楽しめるように用意された(と勝手に僕は思っている)重要なキャラクターなのです。

「ナニ」という超重要キャラクター

リロとナニは正真正銘の姉妹なので、「両親を亡くした」という点で言えばナニも同じ状況なのです。それが、「年の離れた姉だから」「働ける年齢だから」という理由でリロの親として毅然に振舞わなければいけなくなってしまったのです。

劇中で彼女の年齢について語られてはいませんが、おそらく10代後半から20代前半。遊びたい盛りの年齢だし、日記に「デイヴィットのお尻が可愛い」と書くくらいには人並みに恋愛もしたい年頃です。それが両親の突然の死により「大人にならざるを得なくなった」のです。両親をなくし、手のかかる妹を(と犬)の世話をしながら、デートの誘いを断りながらも懸命に働き、トラブルによって仕事をなくし、妹が施設に送られそうになる。20代やそこらの女の子がこんな状況に耐えているなんて・・・と同情します。

「あの子には私が必要なの!」と言いながらコブラ・バブルスに「本当は君がリロを必要としているんじゃないか」と指摘されるシーンは本当に胸が痛みます。彼女にとっても血の繋がった家族はリロしか残されていないのです。

悲劇のヒロインに救われるヒーロー

このリロとナニという悲劇の姉妹のもとにやってくるのが「スティッチ」です。彼は本当の名前は「試作品626号」といいます。宇宙に住む悪の大発明家ジャンバ博士に作られた生物兵器であり、本来は破壊本能しか持ち合わせていません。その危険度から処刑される予定だったのが逃げ出し、不時着したのが地球、ハワイのカウアイ島です。

大型トラックに轢かれ動物保護施設に保護された彼は「犬」としてリロの家族の元へやってきます。スティッチという名前を与えられ、リロの新しい友達となりますが、最初は暴れまわるばかり。一時は捨てられそうになるものの、リロの「オハナを捨てちゃダメ」という言葉でなんとか捨てられずに済みます。このときスティッチは初めて「オハナ(家族)」という言葉を認識し、「兵器として作られたために家族がいない」自分の存在に疑問を抱きます。

そもそも破壊本能しか持ち合わせていなかったスティッチも、最初は暴れまわるものの、「破壊するものがない」カウアイ島で途方に暮れている最中、彼の起こしたトラブルによりリロの保護施設行きが決まった時、デイヴィットの言葉で「自分が破壊してしまったもの」に気づき、リロとナニの「家族の絆」を目の当たりにして次第に自分も家族を追い求めるようになります。

劇中におけるスティッチの役割は決して「姉妹を救う」ポジションではなく「姉妹に『オハナ(家族)』というポジションを与えてもらい救われる」役割なのです。彼がしたこととと言えば、追っ手から逃れるために暴れまわり、ナニが仕事をクビになる原因をつくり、家を壊し、自分のせいでリロがさらわれ・・・と姉妹に迷惑をかけることばかり。はっきりいって災いのもとであり、邪魔者です。それだけ迷惑をかけておきながらも、唯一自分に「家族になってもいいよ」と言ってくれたリロを助けるために戦う、というお話なのです。

姉妹にとっては「オハナ」について再確認するきっかけとなる程度、それ以上に彼女ら姉妹がスティッチに与えたものの方がかなり大きいと思います。そのおかげで破壊本能しか持ち合わせていなかったスティッチも成長し、「良い子」になってゆくという・・・。

考えれば考えるほど深い作品です。

CG全盛期の時代に「水彩画」で背景を描く

芸術面での評価も書いておきます。

この作品はCGも多用されていますが、ハワイのシーンのほぼ全ての背景が水彩画で描かれました。当時のアニメの流行と言えば「トイストーリー」「モンスターズ・インク」「シュレック」などの全編フルCGです。普通の手描きアニメーションだって、背景は普通にアニメ塗り用のインクを使いますし、このころはデジタル化が普通です。なのに「リロ・アンド・スティッチ」は水彩なのです。ディズニーアニメーションで水彩画が使われたのは「ダンボ」以来ということなので、その特殊さがよくわかると思います。

 

なぜ「水彩画」がそんなに珍しいのかというと、実際に水彩画を描いてみるとわかると思いますが、水を使って絵を描くために、乾いたときに紙が変形してしまうのでアニメ向きではないのです。これに関してはスタッフもかなり苦心したようで「リロ・アンド・スティッチスペシャルエディションの特典ディスクには当時の状況がかなり詳しく載っています。詳しくは実際に見てもらいたいのですが、かつてのディズニーレジェンドに教えを請いに行く姿なども撮影されていて興味深いです。

 

水彩画で描かれることによって、手描きアニメーションでよく言われる「CGにはない温かみ」が100倍は強調されているように思います。また舞台は完全には観光化されきっていない、大自然の風景が残るカウアイ島。田舎っぽい景色と水彩画が見事にマッチしていてすばらしいです。

今年、お台場で「ディズニー・アート展」という展覧会が開かれましたが(現在は大阪にて開催中)「リロ・アンド・スティッチ」のコーナーがなかったのは実に悔やまれます。

www.ytv.co.jp

地味にアカデミー賞ノミネート作

リロ・アンド・スティッチ」は興行収入もさることながら、その質の高さから同じくディズニーアニメーションスタジオ作品の「トレジャー・プラネット」とともに第72回アカデミー賞の長編アニメ映画賞にノミネートされます。結果は惜しくもスタジオジブリの「千と千尋の神隠し」の受賞でノミネートに留まりましたが、アカデミー賞の審査員が認めたレベルの作品というのは間違いないです。

監督のクリス・サンダース、ディーン・デュボア両監督はそのごドリームワークスに移り「ヒックとドラゴン(原題:How to Train Your Dragon)」にてふたたびアカデミー賞の舞台に現れます。(このときの受賞は「トイ・ストーリー3」)

そこからもこの両監督の実力が本物であること、作品が良質であることが客観的にわかると思います。「ヒックとドラゴン」日本でこそ地味な反応でしたが世界的に高い評価を得ているヒット作品となっています。

 

 

リロ・アンド・スティッチ」のここがダメ

ダメなところも載せておきます。が、正直言って「リロ・アンド・スティッチ」の映画本編とは全く関係のないダメなところです。

 続編が多すぎる

当時のディズニー社はかつて大ヒットした名作の続編をたくさんつくってはビデオ販売やアニメシリーズ化してお金を稼いでいました。中にはかなりクオリティの低いものも多く、各方面から批判を受けていました。

続編にいたっては「リロ・アンド・スティッチ」も例外ではなく、映画が数本と現在までもアニメシリーズが制作されています。

正直言うと僕は「リロ・アンド・スティッチ」続編シリーズは一切手をつけてません。

今まで散々偉そうに言ってて見てないのかよ!って言う感じですが、「リロ・アンド・スティッチ」のWikipediaページを見ていただければわかるように、オリジナルの映画本編と続編、テレビシリーズが全部ごちゃまぜに書かれてしまっているため、どこから手をつけて良いのか全然わからない、時系列がわからないという問題が起きてしまっています。分けたほうがいいと思う。

またTVシリーズはスティッチが試作品626号なので「625匹いる試作品をスティッチの"いとこ"として、地球に散らばった"いとこ"たちを回収する」という内容であり、625匹全ては出てこないものの、途方も無い数のキャラクターと付き合っていかなくてはならない前提なので、観る前からやる気を削がれるという問題が起きています、しんどい。

また日本独自シリーズのスティッチ!舞台が沖縄だったりと、なんかもういろいろとしんどい。オリジナルの映画だけでいいです僕は・・・。

パッケージが雑

 そしてもう一つ、こんなにヒットした作品なのに、ソフトのパッケージが雑。

 なにこれ!!

拡大してもらったらわかるんですが、リロとスティッチの2ショットがネットで拾った画像みたいな感じで、めっちゃ画像荒いんです。

で、タイトル上のデイヴィットとスティッチ。CGタッチで描かれてます。上下で質感揃えないのかよ!!ひとつのパッケージにスティッチ2体いて被ってるし!!まじでこれOK出したやつ出てこいよ!!!

「ヒットしたし、とりあえず間に合わせでも出しときゃ売れるでしょ」って感じ???仕事しろよ!!こちとらこの作品が大好きでパッケージも特別なものであって欲しいんだよ!!

 

と、まぁパッケージに関して言うと文句しか出てきません。

ちなみに僕はこのパッケージが嫌すぎて、いつか「6/26スティッチの日限定パッケージ」みたいなやつを買いました。アロハシャツ風のデザインでしたが中身は同じですしケースが透明だったので開いたら上の画像と同じジャケットが丸見えだった。

(調べたところ、海外版もDVDのコレクターズエディションはこのデザインで、blu-rayは別のデザインでした。日本だけ手を抜いたとかそういうわけでは無いようです)

 

リロ・アンド・スティッチ」はいいぞ。

ということでまとめです。

皆さんどうでしょうか、オリジナル映画版の「リロ・アンド・スティッチ」に対する考え方が少しは変わりましたか?この記事を読んだ方は改めて「リロ・アンド・スティッチ」を楽しんでいただければと思います。

長くなりましたが今回はこの辺で。

ありがとうございました。

 

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アナハイム「パラダイス・ピア・ホテル」のPCHグリルでのグリーティング。

 

*1:ラセターおじちゃんは現在はいろいろあって休業中