「シェイプ・オブ・ウォーター」アカデミー賞作品賞、美術賞、作曲賞、ギレルモ・デル・トロ監督・監督賞受賞おめでとうございます!!!!
(2018年3月6日追記)
カナダに住んでいて良かったと思う海外のいいところのひとつは、日本でまだ公開されていない映画を一足先に見ることができることだ。
前回の記事 でもちょっと触れたように日本で公開される映画は得てして本国公開日よりかなり遅く公開されることが多い。それは何もディズニー作品に限ったことではなく(むしろ「ディズニーブランド」のない作品の方が、ビッグタイトルの続編とかでない限りかなり公開時期をずらされる傾向にある)あれだけヒットした「ラ・ラ・ランド」でさえ、日本ではアカデミー賞発表後まで待たねば見ることができなかった。(配給側の思惑としては「アカデミー賞受賞作品!」で売りたい意図が見える)
遅れても公開されるのはまだいい方で、日本では公開されないタイトルもいくつかあるというのが現状である。ディズニーブランドであってもだ。
(例えば南アフリカを舞台にしたルピタ・ニョンゴ主演の「Queen of Katwe」など)
そんな中僕は、咋年末にギレルモ・デル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」を観た!
この作品、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞していたり、アカデミー賞でもなんらかの賞をとるだろうということでかなり気になっていたのだ。
(追記)とか言っていたらゴールデングローブ賞監督賞と作曲賞を受賞した。*1
で、観て観たところ、作品の内容が素晴らしいのもさることながら、「これディズニー好きは好きなんじゃないの?」と思ったので今回この記事を書くに至った。
ありがたいことに(?)日本では2018年3月1日に公開が決まっているとのことなので、興味がある方はぜひ観て欲しい。
目次
あらすじ
1960年代、ロシアとの冷戦中のアメリカ。政府の研究施設にて清掃員として働く発話障害の主人公イライザは、ある日、施設の事故現場の清掃を任される。そこで見つけたのは事故の原因となった半魚人であった。仕事中にしばしば"彼"の様子を伺い、次第に心を通わせるイライザ。そんな中、"彼"が事故の腹いせに暴行を受けている現場を目撃してしまい、イライザは"彼"を解放し海へ逃がすことを決意する。
まずはお勧めしない人
心の安全のためにも、とりあえずお勧めしない人を先に切っておかないといけない。
以下のシーンがダメな人はもう回れ右して他のブログへ移動していただきたい。
- 半魚人
- 猫が死ぬ
- 体の一部がなくなる
- 傷口に指を突っ込む
- 女性の自慰行為
- 生々しいセックス描写
こんなところだ。ラブストーリーだけどさすがはギレルモ・デル・トロ監督だけあって、一筋縄ではいかない。グロシーンがかなり多い。
ちなみにオリジナル版はR18なのだけど、日本公開版はR15ということなので自慰シーンやセックスシーンなどはカットされるかもしれない。
R15指定によるシーン編集に関して、TwitterにてFOXサーチライト・ピクチャーズ日本公式アカウントから説明がありましたので掲載しておきます。(追記:2018年2月27日※カナダ時間)
このバージョンは監督・製作者の承認の元、アメリカ公開バージョンからの一切のシーンのカット・差し替えはなく、1箇所のみぼかし処理を施しております。#シェイプオブウォーター
— FOXサーチライト・ピクチャーズ (@foxsearchlightj) 2018年2月27日
それでも大丈夫だよ!っていう人はとりあえず本国版トレーラーでも観てどんな雰囲気か感じて欲しい。
なぜディズニー好きにお勧めなのか
正統派ラブストーリーである
イライザ役の40歳のサリー・ホーキンスを美女と捉えるかどうかは人によるとは思うが、この映画はどのシーンをとっても彼女の演技の魅力が素晴らしく美しい。
「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」の要素をミックスしたといってもいいし、別解釈・現代的解釈といってもいいと思う。
(実際は1954年のモノクロホラー映画「大アマゾンの半魚人」が元ネタらしい*2)
発話障害を担っている彼女は手話で会話するためにどうしても友好関係が小さくなりがちで、故に孤独に、しかしそれなりに楽しく暮らしている。その様相はオタクそのもので、「オタクが異形に恋する物語」って、それめっちゃオタク向けやんって話です。
舞台が60年代
舞台は冷戦時代の60年代。つまりこの映画にはウォルトが生きた時代、かつてのトゥモローランドやエプコット的なエッセンスが映画の随所に散りばめられている。
街中のネオン、ダイナーのケーキの並ぶ棚や、食べ物、車、音楽、イライザの隣人であり画家のギルズが仕事で描くポスターなど・・・・。
冷戦時代の政府の「対ロシア」への危機感と、当時の(ちょっと裕福な)一般市民の「素晴らしい国アメリカ」「快適で栄光ある未来」を思い描くシーンが絶妙なバランスで演出されている上に劇中の爽快なジョークシーンにもなっていて実に愉快です。
歌とダンスがいっぱい
ラブストーリーがあれば歌とダンスがあるのがディズニーの常識である。知らんけど。
今作はミュージカルではないし、主人公は言葉を発せない上に、相手は半魚人である。
だが言葉を発せないからこそ、セリフのないシーンで音楽が映える。それはもう超映える。実際数々の音楽部門の賞を受けている。
そして言葉を発すことのできないジレンマは思わぬ形で映画内随一のシーンとして形作られる。実にうまい作り方である。ラブストーリーとはこうであってこそだ。
ミュージカルやラブストーリーは時に理屈や理論を超越する(フォースのように)だから「ラ・ラ・ランド」でセブもミアも空を飛ぶのだ。
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ディズニー好きは半魚人に抵抗がない
言葉はいらない。
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最終的にディズニー映画になる
独占禁止法とかの関係で、まだ裁判所でOKと言われるまで正式に買収は完了しないらしいですけど、買収が確定したら「シェイプ・オブ・ウォーター」も晴れてディズニー映画です。
ディズニー買収後もこういう刺激的な内容を撮れるようにして欲しいですね。
ディズニーは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ですら「ロレインがマーティに恋愛感情を持ってキスするのは近親相姦っぽくて無理」つって脚本突っ返したらしいですから・・・・。
まとめ
「シェイプ・オブ・ウォーター」はいいぞ。
皆様もぜひご覧ください。
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