『ロジャー・ラビット』(Who framed Roger Rabbit)が6月22日で公開30周年を迎えるらしい。
日本時間はもう23日ですね 笑
世界のディズニーパーク(今となっては東京とアナハイムだけだが)にあるテーマエリア『トゥーンタウン』そしてそこに存在するアトラクション「ロジャー・ラビットのカートゥーンスピン」
ダークライドでストーリーを追いながらティーカップアトラクションの要素も含めたこのアトラクションは大人気だが、オリジナルの映画である『ロジャー・ラビット』を見たことがある人はどれほどいるだろうか?
今回はこの『ロジャー・ラビット』の魅力をご紹介します。
目次
ロジャー・ラビットとは
製作総指揮スティーブン・スピルバーグ、およびキャスリーン・ケネディ(現ルーカス・フィルム社長、「E.T」などのプロデューサー)監督ロバート・ゼメキス(「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、「フォレスト・ガンプ/一期一会」など)が主体となって作られた実写×アニメのコラボレーション映画。
ゲイリー・K・ウルフの原作小説「Who Censored Roger Rabbit?」の映画化の権利をディズニーが購入したことから企画がスタートし、「会社の枠を超えたクロスオーバー」のアイデアが生まれ、ディズニーのキャラクターだけでなくバッグス・バニー(ワーナー・ブラザース)、ベティ・ブープ(パラマウント)、ウッディ・ウッドペッカー(ユニバーサル)、ドルーピー(MGM)などのキャラクターが一堂に会するという夢の映画が実現しました。
音楽はアラン・シルヴェストリというのも最高。
プロデューサーはのちに「美女と野獣」や「ライオン・キング」を世に送り出すドン・ハーン。またアニメーターとしてアンドレアス・デジャがロジャー・ラビットの作画を担当。
ディズニー映画でも取り入れられている、ハリウッドアニメの基本原則「スターシステム」を応用し、現実世界のハリウッドの向こう側にはアニメ(トゥーン)達が住む街、トゥーン・タウン(吹き替え版はアニメタウン)が存在し、様々なアニメキャラ達が会社の枠を超え住んでいる。そこは物理法則などがまるっきり無視され、なんでもありなアニメのルールが適用されている。アニメ達は自分たちの出演する映画撮影のためにハリウッドにやってくる・・・というもの。
もう、これだけで「めちゃくちゃ面白そう!」と思うのは僕だけでしょうか?笑
「会社の枠を超えたクロスオーバー」は同じくスピルバーグ監督作で今年公開されたばかりの『レディ・プレイヤー1』などは記憶に新しいかと思います。
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「ロジャーラビットをハメたのは誰だ」
米国版タイトルは"Who Framed Roger Rabbit"
直訳すると「ロジャー・ラビットを(罠に)ハメたのは誰だ」となります。
そう、この映画、実はただのわいわいガヤガヤ楽しい映画ではなく、推理もの、サスペンスものの一面もあるハードボイルドな映画なのです。
主人公は飲んだくれの私立探偵エディ・バリアント。
かつては弟のテディとともにアニメキャラクター相手に窮地を救う正義の探偵だったのが、アニメに弟を殺されてから落ちぶれてしまっていた。
酒代のため、人気アニメキャラクター、ロジャー・ラビットの妻ジェシカ・ラビットの浮気調査という依頼を受けたエディは証拠を抑えるも、浮気相手のR・K・マルーンが何者かによって殺されてしまったことにより事態は一変。
ロジャーは容疑者として追われる身となるが、彼が無実だと気づいたエディは真犯人を見つけるために奔走する。というお話。
ちょっとエッチ
前回書いた「ロビン・フッド」の記事に続いて恐縮なのですが、この映画「ちょっとエッチ」なのです。
それもそのはず、この映画はディズニー資本ディズニー配給なのですが製作はアンブリンエンターテインメントというスピルバーグのスタジオと、ウォルトの義理の息子ロン・ミラーが設立した「ディズニーが作る大人向け映画レーベル」であるタッチストーン・ピクチャーズの共同製作。
ディズニーの配給ながらも「ちょっとエッチ」だったり「殺人事件を扱うようなハードボイルドさ」も取り入れることができたのです。
(余談ですが当時CEOでこのスタジオを作ったロン・ミラーはウォルトの甥ロイ・E・ディズニーから大いに反発を買い、のちに追放されてしまいます)
中でもアニメキャラクターとして描かれたロジャーの妻ジェシカ・ラビットはかなりグラマラスでセクシーなキャラクターとして描かれており、「アニメなのにナイトクラブで人間相手に歌を歌って魅了している」という設定があるほど。
実際浮気相手として登場するR・K・マルーンも人間であり、ジェシカとマルーンが楽屋で「せっせっせ」しているところをエディに盗撮されたところから事件は始まります。
もうこの「せっせっせ」という言葉のチョイスからこの映画のヤバさを感じ取ってもらいたい 笑
また、ロジャーの共演者であるベイビー・ハーマンは「元祖ボス・ベイビー」といった感じの、赤ちゃんの体ながら実年齢50歳のおっさんアニメであり、マネージャーにセクハラはするわ、葉巻を「おしゃぶり」と呼んでガンガン吸うわ、けっこうギリッギリである。本人曰く「お◯んちん」は赤ちゃんのため、性欲のはけ口がないらしい。
いろいろやばいでしょ。
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笑いこそが僕らの武器
ハードボイルドでちょっとエッチ、全体的にとっ散らかったストーリー展開ながらも、この映画のメッセージはしっかりしています。
「笑いこそが僕らの武器」というもの。
この映画は最初から最後までジョークに溢れながらも、序盤の主人公エディのシークエンスでは失った弟の悲しみにスポットが当たる。
トゥーン御用達の探偵だったエディが弟を失ったことで笑いから遠ざかってしまっていたのが、この事件を機に弟の死を乗り越え、笑いを取り戻すのである。
トゥーンは生まれながらにしてジョークを止めることができない。
特にロジャーはそんなキャラである。
けど彼らはそれを使命として、どんな困難も笑いで乗り越えようとする。
なんだってできる。何にだってなれる。このアニメの世界ならば君だって。
普段語られないような、アニメ製作陣、映画製作陣の夢や希望がこの映画には詰まっていると思う。
このメッセージ性やアニメと実写の融合という部分も含めて、「ロジャー・ラビット」は後年の映画に大きな影響を与えたと思います。
「スペース・ジャム」なんかはその典型例ですね。
ロジャー・ラビットとあわせて見てほしいとてもオススメの映画です。
まとめ
「ロジャー・ラビット」はいいぞ。
この映画を見た後に東京ディズニーランドのトゥーンタウン、カートゥンスピンへ行くと、いろんな発見があると思います。別にミッキーが住む街だ〜っていう楽しみ方でもいいんですけど、その背景にあったのがこの映画の存在。
スピルバーグとディズニーという二大巨匠の力により実現したこの映画はまさに企画力の勝利、大正義の映画です。
世紀の大ヒット作、アニメ史に残る傑作でありながら日本での知名度はまだまだ低い!というのももったいなく、やっぱりみなさんに是非見てほしい映画です。
辛いこと、悲しいことは忘れて、たまには思いっきり笑いましょう。
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