昨日書いた記事に続き、本日は『ビアンカの大冒険』シリーズ2作目『ビアンカの大冒険 ゴールデンイーグルを救え!』(原題:The Rescuers Down Under)のお話。
数あるディズニールネサンス期の作品の中で埋もれながらも、名作として名高いこの『ゴールデンイーグルを救え!』
その魅力に迫ります。
昨日の記事はこちら。
映画も是非先に見てくださると嬉しいです。
目次
全てが格段にスケールアップ
やっぱり「続編」ってこうあるべきなですよ。
この『ゴールデンイーグルを救え!』は前作『ビアンカの大冒険』から格段にスケールアップしています。
ストーリー、画の見せ方、キャラクター描写、スリル、アクション・・・前作よりも劣っているところを探す方が難しいです。
『ビアンカの大冒険』以降、次作『きつねと猟犬』にて世代交代を目指したディズニースタジオは10年ほど苦難の時を過ごします。
『オリビアちゃんの大冒険』よりディズニーのトップがウォルトの義理の息子ロン・ミラーからパラマウントを成功させたマイケル・アイズナーへと交代し、同じくパラマウントを再建したジェフリー・カッツェンバーグを映画部門の最高責任者に据え、映画製作において大胆な変革が行われます。
『リトル・マーメイド』の大成功により劇的な復活を遂げたディズニーが、次に送り出したのがこの作品『ビアンカの大冒険 ゴールデンイーグルを救え!』
素朴で淡々と展開しがちだった前作『ビアンカの大冒険』からはガラッとスタッフが入れ替わり、より映画的な演出が増え、迫力のある映画になっています。
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恐ろしく長い序章
原題のサブタイトルとなっているDown Underとは地球の反対側、つまりはそのままオーストラリアの意味である。(スラング的)
この映画『ゴールデンイーグルを救え!』は前作のアメリカ南部の薄暗い沼地から遠く離れたオーストラリア奥地の広大な大自然を舞台に繰り広げられる。
昆虫や小動物たちが動き回る出だしから、動物と話せる少年コーディが駆け出し、ゴールデンイーグルマラフーテを助け、彼の背に乗って大空を飛び回る。
序盤のこのシーンの素晴らしさ、空を飛ぶ瞬間のカタルシスはとても言い表せない。この作品は序盤からトップスピードで攻めていく。
その後、マラフーテと別れたコーディはネズミを助けようとして密猟者パーシバル・C・マクリーチの罠に捕まる。彼が狙っているゴールデンイーグル、マラフーテの巣を知っていると気づかれたコーディはそのまま誘拐されてしまう。
囮にされていたネズミは急いで救助救援協会(RAS)へと連絡、国から国へとメッセージが飛び、そのSOSはビアンカとバーナードのコンビの元へも届く。
この、主人公ビアンカとバーナード登場までのシーンに費やされる時間、実に18分15秒。
正直「これ途中までコーディが主人公で話進んでたんじゃないの?」という疑念すら湧いてくる。
本編78分という短さの実に約4分の1を費やしており、シリーズものとしてそれでええんかいと、いう気がしないでもないが、この18分の濃さ、視聴者を惹きつける演出は目を見張るものがある。
ヴィランの恐ろしさも、ヴィランが狙っているゴールデンイーグルの希少性やすごさも、少年がなぜ誘拐されるのかも、すべてが理にかなっていている上、この序盤できちんと説明されるため飲み込みが早く無駄がない。
(ぶっちゃけ前作はペニーが誘拐される必然性がなく、親がおらず誘拐しても大ごとにならなそうな子供であれば誰でも良かったという感じもするし、ヴィランの登場も遅い)
キャラクターの魅力でほぼほぼ押し切った前作の歪さを反省し、これでもかと画で見せてくる展開は興奮ものである。
肝心のビアンカとバーナード
では、つぎにビアンカとバーナードである。
ビアンカは、前作とキャラクター像において大きな違いはないが、メインとなる濃いキャラクターが増えてしまったために前作にあった大胆さは多少控えられているように思う。それでもバーナードを起こす際にほっぺにキスするという悶絶ものの可愛らしさは健在である。(活躍の場が減ったのでよりマスコット的になってしまった感もあるが・・・)
一方のバーナードは、序盤のコーディの大胆さに負けない主人公性を持たせる必要があったと思う。
スクリーンの前の僕らを反映したような、気の弱いバーナードはそのままに、より感情移入でき、よりかっこよく成長させる。濃いキャラクターばかりのこの映画で、主人公として決して埋もれさせないという難しい問題をこの映画では難なくクリアしている。
コーディ救出のミッションと並行して彼が個人的に挑む「ビアンカへのプロポーズ大作戦」は、彼の情けないところを見事に反映していて同情してしまう。
劇中バーナードの恋敵として登場するネズミカンガルーのジェイクはビアンカへのエスコートっぷりも、技量的にもバーナードの格段に上を行っている。それに露骨に落ち込むバーナードもなんとも哀れである。
それでも終盤バーナードは主人公として見劣りしていないし、ジェイクをもはや引き立て役にしてしまう活躍を見せる。
かっこいいぜバーナード!
派手なアクション、異様なテンション
前作『ビアンカの大冒険』がリリースされた時期の作品は、所謂古き良きディズニーの影響を引きずったままの作品が多く、それでもウォルト時代の作品に比べて明らかに「派手さ」が欠けていた。
『王様の剣』以降はウォルトが中心だった映画製作から外れているため、それ以前とそれ以後では作品のクオリティが大きく違うので、いかにウォルトが映画製作において重要な役割を果たしていたかがよくわかる。
一方でこの『ゴールデンイーグルを救え!』は前作とは打って変わって、派手で、ギャグもシュールではなく冴えに冴え、全体的に異様な明るさを放っている。
ジェフリー・カッツェンバーグの指導のおかげなのかなんなのか、スタジオの楽しく作っている様子が伺えるようなユーモアが多い。
アホウドリ航空のウィルバーが空を飛ぶシーンに一瞬街中にトップレスの女性のイラストを滑り込ませ、ビデオ発売時にそれがバレて自主回収したほどだ(アホでしょ)
前作は鼻歌で野暮ったく歌っていたオービルの弟ウィルバーはステレオでロックをかけてノリノリだし、彼が関わるシーンのギャグは無茶苦茶で、緊張感溢れる他のシーンのちょうどいい息抜きにもなる。
コーディとともに幽閉されるエリマキトカゲのフランクもウザいくらいクレイジーである。
そして何と言ってもアクションがすごい。
前作の薄暗い沼を駆け巡るシーンも面白くはあったが、今作はそれが足元にも及ばないレベルである。
荒野でのサバイバルはまるでインディ・ジョーンズ風でハラハラドキドキ。
ジェイクというキャラクターはかなりインディ・ジョーンズを意識しているし、当時のCEOマイケル・アイズナーはパラマウント時代に『レイダース/失われた聖櫃』の製作に携わっている。
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まとめ
『ゴールデンイーグルを救え!』はいいぞ。
ディズニーの続編もの、特にルネサンス期というのはトゥーンスタジオという、かつてほぼほぼ下請けみたいなところで作っていた低クオリティのものが多かったのですが、この『ビアンカの大冒険 ゴールデンイーグルを救え!』は本スタジオの方で作られた正当なる続編です。
作っているスタッフも違うしスケールも格段にアップしているので、続編っぽくないっちゃないのですが、やはりよりキャラクターへの愛着が持てるのは前作『ビアンカの大冒険』だなとも思うので、やはり是非とも前作『ビアンカの大冒険』と一緒に見て欲しいなと思います。
合わせて見ることによって、彼らの「プロポーズ大作戦」もかなりどっぷり楽しめるんじゃないでしょうか。
あ〜、ビアンカの大冒険はおもしろいなぁ。
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