ディズニーによるジェームズ・ガン監督解雇によせて。

悲しいニュースが飛び込んできてしまった。

 

ディズニー/マーベル・スタジオ作品『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(原題:Guardians of the Galaxy)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(原題:Guardians of the Galaxy Vol.2)の監督、また『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(原題:Avengers:Infinity War)の脚本協力やアナハイムのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーのアトラクション「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー・ミッション:ブレークアウト!」の監修も務めたジェームズ・ガン氏がディズニーにより契約の解除、事実上の解雇となった。

 

www.hollywoodreporter.com

theriver.jp

 

理由はジェームズ・ガン監督がtwitterで10年以上前に「児童に対する性的虐待的内容を面白おかしくツイート」していたため。

ジェームズ・ガン監督はこの件に関しては『ガーディアンズ』の監督が決まった時点で事実を認め謝罪をしてた。

 

普段からドナルド・トランプ大統領を批判するツイートをしていたガン監督が、トランプ派の反感を買い、オルタナ右翼番組のパーソナリティ、ジャック・ポソビエックにより過去のツイートを「晒し上げ」されたことがきっかけとなっている。

 

解雇を受けてジェームズ・ガン監督は事実を重く受け止めさらに反省し、前に進む姿勢を見せている。

ほぼ無名のコミックスを原作に、過去2作を(日本以外では)大ヒットさせた手腕の持ち主で『Guardians of the Galaxy Vol.3』の脚本も完成し大いに期待されていた監督であったため、この決定はディズニーにとってもかなり痛手である。

この週末にソニーでの新作映画についての発表がサンディエゴコミコンで開催される予定だったタイミングで、オルタナ右翼派は「コミコンに突撃する」というような扇動も行なっていたため、彼自身は出演を取りやめた。

 

目次

 

ジェームズ・ガン監督の責任について考えること

ジェームズガン監督側として認識しておくこと。

  • 10年ほど前、児童性的虐待をジョークにしたツイートがあった事実
  • そのことについては自らすでに謝罪している
  • ツイートは削除せずにそのまま
  • 解雇はされたが自らの責任として受け入れるとコメント

という感じ。

彼のキャラクターからしても「児童性的虐待ツイート」が単なるジョークであり、彼自身の性癖を語るようなものではないことは明らかであろうが、ツイート自体は確かに、なかなか過激でひどいものである。

これは「映画が素晴らしいから」とか「映画を成功させたから」という理由で擁護できるようなものでは到底ない。

「作品とクリエイターの性格は切り離して考えるべき」とはいうが、それで「監督は最低だけど映画は素晴らしい」というのなら、「たとえ映画が素晴らしくても、行いが悪いのであればその行為は擁護されることではない」ということも同時に考えなくてはいけない。

 

一方でディズニー/マーベルから『ガーディアンズ〜』の打診があった時に、自身のツイート内容を深く反省し、そういったツイートをぱったりと辞めたのも事実である。

www.hollywoodreporter.comこちらは2012年の記事。

 

10年経ったとはいえ、そのツイート内容に不快感を表す人がいるのも、心を傷つけられてしまった人がいるのも事実だろう。

だからこそやるせない。

ガン監督自身「いい人になったとは言わないが、あの頃とは変わった」と発言しているし、僕自身もそれを信じたい。

そして彼が「責任」としてディズニーの解雇を受け入れるのであれば、無念ではあるが受け入れたいとも思う。悲しい。

 

 

ディズニー側の決断

"The offensive attitudes and statements discovered on James’ Twitter feed are indefensible and inconsistent with our studio’s values, and we have severed our business relationship with him," Walt Disney Studios chairman Alan Horn said in a statement Friday.

 

(ハリウッドリポーター記事内引用)

 

「ジェームズのツイッターフィードから見つかった攻撃的な態度や姿勢は、擁護できるものではなく我々のスタジオの価値観と相反するものです。そして我々は彼とのビジネス関係を打ち切りました」とウォルトディズニースタジオ会長アラン・ホルンが金曜日に述べた。

 

 

アメリカにおいての「児童性愛」への厳しさを鑑みても、そもそもディズニーという会社自体を鑑みても、ジェームズ・ガン監督の発言はあまりにも相性が悪い。

 

ディズニーが彼を擁護したところで「子供のための映画を作るディズニーが児童性愛者を擁護するのか」という意見が出て泥沼になるのは目に明らかである。

(ディズニーが「子供のためだけ」に映画を作っているわけではないことも、ジェームズ・ガンが児童性愛者でないこともわかってるのでツッコミは要りません)

 

「トランプ派の右翼に屈した」という意見もあるが、いろいろ鑑みるとそれは違うとも思う。そもそも会社としてトランプを擁護するような姿勢はなかったし、トランプ大統領およびその支持者たちというのは弱者差別は大いに結構というスタンスでやってきている人たちだ。過去のツイートではあるが、ジェームズ・ガンだけを擁護し特別扱いするとなると、その他あらゆる差別をする人々を受け入れなければいけないというきっかけになる。

 

先日ディズニーが抱えるテレビ放送局ABCの人気番組をヘイトスピーチが発端で打ち切りにしたのも、事実は定かではないもののディズニースタジオCCOでピクサーの創立者のひとりジョン・ラセターを退任という形にしたのも、もっというとハリウッドで権力を盾にして女性に暴行を働いたワインスタインも全て受け入れるという姿勢を取らなければいけない。

dpost.jp

 

ディズニー自身「過去に過ちがあった人でも変われる、善人になれる」というメッセージの映画を幾つも世に送り出してきた。

ツイート自体もディズニーと関わる前の話だし、ガン監督自身2012年時点で謝罪していたことがわかっているし、ディズニーのような会社が身辺調査もせずに雇用するとも思えない。

 

謝罪とそれ以後のジョークツイートの発言を止めることが条件で契約したんじゃないのか?そもそもこういう事態になった時のための取り決めはなかったのか?(その取り決めが契約解除だったのか?)「映画制作が決まった時点で話合い、ジェームズ・ガン監督自身の発言や態度が変わるように指示・支援して契約を決めた」というようなことは言えなかったのか?など、いろいろモヤモヤしてしまうところはある。

 

だけど、トランプ支持者たちは「ひとまず自分たちのことは差し置いて」「別に差別とかぶっちゃけどうでもいいんだけど」「ジェームズ・ガン監督やディズニーを陥れるため、反トランプ派を落とし入れるため」に差別的なツイートを利用して動いている。

政治的と言われるかもしれないけど、会社と政治とは切り離せないし、ディズニーが「反トランプ」を意識することも僕は支持したい。

彼らの告発をうやむやにしてガン監督を擁護する事こそ、差別的発言を繰り返すトランプ大統領やその周辺に屈して受け入れたことになる。

 

オルタナ右翼派たちへ思うこと

 

ぜってー許さねー。

 

 

僕自身の思い

利己的な思惑だけで、反差別や児童虐待なんてなんとも思ってない連中に、ジェームズ・ガン監督の過去の発言が利用されたのは本当に残念だ。

 

それでも、過去の過ちは謝ったからといって消えるものではないと僕自身思っているところもある。

トランプ派の人たちが本当にそれを「正義だ」と思ってやっているのなら、彼らも自身の言葉によって自身が裁かれることになるだろうと思っている。いつかはしっぺ返しがくる。「自分のことはさておいて」なんて都合よくやっていけるはずがない。

 

ポリコレが悪という風にもしたくない。

子供達は守られるべきだし、悪質な差別や性的虐待は無くなって欲しい。

そもそも日本にはこの「前提」すらないことを恥じにさえ思う。

 

 

正直、本当に、めちゃくちゃ残念です。大好きな映画だし大好きな監督だった。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はいろんな魅力的な俳優たちやかっこいい音楽や考え方を教えてくれる映画だった。僕を未知の冒険、未知の世界へ連れ出してくれる存在だった。

ガン監督が撮らない「Vol.3」を思うとしんどい。非常にしんどい。

 

僕自身、清廉潔白だなんて言えないし人は変われると思っている。

ジェームズ・ガンの発言のことなんて知らなかったけど、『ガーディアンズ』の監督として見てきたあの人はすごくかっこよくて優しいお兄さんだと思っていた。

だからこそ残念だし、だからこそディズニーを恨むのではなく過去の自分の責任をとると発言した彼も支持したい。

 

ディズニーのことも、ともあれ僕は信頼している。

過ちを犯しても、失敗しても、落ちこぼれでも、頭の中に破壊本能しかなくても、やり直して生きていける。

「美女と野獣」も「アラジン」も「リロ・アンド・スティッチ」も「トレジャープラネット」も「塔の上のラプンツェル」も「ズートピア」も嘘じゃないって信じている。

やり方は下手だし、他に方法はなかったのかというモヤモヤは止まらないけど「商業的成功」よりも「子供達を守ること」を選んだディズニーを尊いとさえ思う。

 

ディズニーはもう、修羅の道を行くしかない。

どれだけ険しくても、どれだけ多くのスタッフをクビにしなくちゃいけなくなっても、それは彼らが選んだ道だし、それでも面白くて、みんなが幸せになる映画を作って欲しい。

 

 

納得なんてできないしモヤモヤしながらも、ディズニーの決断と、ガン監督の対応を、ひとまず僕は受け入れます。

ガン監督もこれで制裁は受けたわけだし、まだ1度目の失敗だ。ディズニーもマーベルも好きだからがっかりだけど、映画が作れないわけじゃない(と信じたい)から

 

 

最後に、ジェームズ・ガン監督ありがとう。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の2作は、僕にとっての宝物です。

 

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