『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』はなぜ最高なのか。

ハリー・ポッター・シリーズの過去の時代を描く『ファンタスティック・ビースト』シリーズの最新作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の最新トレーラーが公開されましたね。

 

 

僕は原作「ハリー・ポッター」の小説は(日本語翻訳版ですが)全部読破しているのですが、映画版『ハリー・ポッター』シリーズは「炎のゴブレット」あたりで早々に劇場で見ることをやめてしまい、金曜ロードショーなどの短縮されたバージョンを観る程度でした。

 

しかしこの『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は劇場で観ました。

というのも「ファンタスティック・ビースト」のシリーズが最高である確信があったからです。

実際めちゃくちゃ面白く、しかも「ハリー・ポッター」シリーズのライト層でもディープなファンでも楽しめる内容となっていました。

 

新作公開前に、この「ファンタスティック・ビースト」のシリーズが最高だと確信ができた理由、誰もが観て楽しめる理由を今回は紹介してみたいと思います。

 

目次

 

脚本が原作者のJ.K.ローリング

「ファンタスティック・ビースト」シリーズは「ハリー・ポッター」のゴッドマザー、原作者J.K.ローリング女史が脚本を担当している。

「ハリー・ポッター」の小説原作を一度でも読んだことがある人は、彼女のキャラクター描写や設定の神経質なまでのディテールに驚いたはずだ。

あの分厚い原作本を世界中の子供達や大人たちまでもが興奮しながら、一気に読み進めるのである。

僕自身、中学生だった頃に当時発売されていた全3巻を1日1冊、3日間で読み終えたほど(4巻以降は量がほぼ倍になり上下巻に分かれる)

それくらい「ハリー・ポッター」の物語は濃厚で隙がなく、飽きの来ない物語なのである。

 

優れた原作小説家が優れた脚本家になれるとは限らないし、特にJ.K.ローリングは情報量を詰め込みすぎるタイプの作家だと思う。

 

しかし映画「ハリー・ポッターと賢者の石」公開当初、数多くの原作ファンが原作からそぎ落とされた要素にがっかりした部分もあり、こだわりの強いJ.K.ローリング自身も実はそうだったのではないかとすら思う。

 

「ファンタスティック・ビースト」のシリーズは原作がない。

J.K.ローリングの頭の中のディープなストーリーやキャラクター設定を、彼女自身が取捨選択に参加し、そのまま映画に反映できるとんでもないシリーズなのである。

 

おもしろくないわけがないのだ。

ハリー・ポッターシリーズ全巻セット

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ハリー・ポッター文庫全19巻セット(箱入)

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シリーズ後半を担当したデヴィット・イェーツが監督

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」は良くも悪くもファミリー映画だった。

監督を担当したクリス・コロンバスは「ホーム・アローン」などを監督した人物で、

「ハリー・ポッター」特有のダークさはオブラートに包み、魔法界のワクワク感、愉快さ、面白さを存分に表現し、比較的原作に忠実な作りではあった。それでも全てを丸ごと映画化するわけにもいかず削除された部分も多い。

一方で、小さな子供も見るような映画にも関わらず、同じく彼が監督した第2作「秘密の部屋」はシリーズ最長の161分という長さである。(174分のロングバージョンもある)

展開の早い部分と遅い部分の緩急がまばらで、なんとなく取捨選択が下手なイメージが強い。

 

作風がガラッと変わったのは第3作「アズカバンの囚人」からである。

監督を担当したのはアルフォンソ・キュアロンで、彼自身の独自のアイデアを多く取り入れた。彼のアイデアはほとんどJ.K.ローリングに却下されたとも言われているが、それでも原作をなんども読んだ僕たちが見れば、「アズカバンの囚人」がそれまでと比べて如何に「はっちゃけているか」がよくわかる。

捨てるところを大胆に切り捨てながらも、映画的な見せ方も追求した「アズカバンの囚人」は原作との矛盾も登場してしまい賛否の分かれる作品でもある。

 

そして第4作「炎のゴブレット」はマイク・ニューウェルにバトンタッチし製作された。

原作の量がほぼ倍となったが、第3作で制作側にも良い意味で肩の荷が下りたのか、前作と同じように大胆な内容の切り捨てと映画的な演出が施され、それでも「アズカバンの囚人」ほどははっちゃけておらず、ダークな世界観の魔法界バトルとハラハラする冒険、友情と恋愛が交錯する学園ロマンという原作の良い部分をきっちり活かしていたと思う。

 

第5作「不死鳥の騎士団」からデヴィッド・イェーツ監督が担当する。

デヴィッド・イェーツの作風はどちらかというとアルフォンソ・キュアロンに近い、極端な削ぎ落としと大胆な改変を行うタイプである。それでも原作からの取捨選択が的確であり、改変部分も映画のリズム感を損なわないためであったり、複雑すぎる設定をわかりやすくするためだったりという創意工夫のなせる技だった。

結果的に「不死鳥の騎士団」「謎のプリンス」「死の秘宝 part.1」と最終作の「死の秘宝 part.2」に到るまで、4作連続して監督を担当したのは、ラストスパートへ向けて作風のブレを嫌気した部分もあるだろうし、彼の監督としての手腕が高く評価されたことによるものだろう。

 

実際、「ファンタスティック・ビースト」シリーズを監督することとなったのも彼で、今後何作彼が担当するかは不明だが、大作「ハリー・ポッター」後半4作を作り上げたその腕前は、原作者J.K.ローリングとのタッグによってより強固なものになると予想できる。

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「幻の動物とその生息地」

「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の英語版タイトルは『Fantastic Beasts and Where to Find Them』直訳すると「幻の動物とその生息地」となる。

当初このシリーズが映画化されるというニュースが入った時、ハリー・ポッター原作ファンは狂喜乱舞した。

というのも、この「幻の動物とその生息地」というタイトルは「ハリー・ポッター」原作小説の序盤によく登場するホグワーツ魔法魔術学校の指定教科書のタイトルなのである。実際チャリティのために(ハリー、ロン、ハーマイオニーの落書き入りで)書籍化もされている。

幻の動物とその生息地(静山社ペガサス文庫) (ハリー・ポッター)

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 この「幻の動物とその生息地」という本は劇中一切登場せず名前だけが語られる「ニュート・スキャマンダー」なる魔法使いによって書かれたとされており、このニュート・スキャマンダーこそがこの「ファンタスティック・ビースト」シリーズの主人公なのである。

 

「幻の動物とその生息地」という著書を書いたニュートならば、その動物を探すために世界中を旅しいろいろな冒険をしたはずだ、という発想。

原作の終了した「ハリー・ポッター」シリーズから、原作ファンの反感を買わないマニアックなチョイス、原作ファンであっても誰も知らない、またハリー・ポッターを一切知らなくとも参入できる全く新しいストーリー。

ホグワーツやイギリスの魔法界という閉鎖された空間から全世界へと幅を広げる冒険。

そして原作のメインストーリーに一切関わらないながらも、しっかりと彼の人生とキャラクターのディテールを用意しているJ.K.ローリング本人による脚本。

 

そこに「ハリー・ポッター」シリーズで語られたようで語られなかった様々な「オタク歓喜」のストーリーが盛り込まれる。

ホグワーツ校長アルバス・ダンブルドアと闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルトとの因縁であったり、ベラトリックス・レストレンジの先祖の女性(リタ・レストレンジ)とニュートの過去の色々だったり、先日トレーラーで明らかになった、ヴォルデモート卿のペットで彼の分霊箱*1である大蛇のナギニが実は人間だった!という秘密だったりと、驚きの展開がてんこ盛りなのである。

 

 

成長した魔法使いの僕たちと、これから成長するノー・マジへ。

20代から30代の世代は、原作ファンや映画だけのファンも含めて「ハリー・ポッター」とともに成長してきた世代である。

小・中学生の頃からハリーとともに魔法界に感動し、恋をし成長してきた僕たちはもう立派な大人である。

「ファンタスティック・ビースト」に登場するメインキャラクターたちはハリーたちとは違いみな大人のキャラクターたちである。

雰囲気もダークさも大人の雰囲気であり、また彼らの魔力も学生であったハリーたちとは違い最初からめちゃくちゃに強力である。

 

「ハリー・ポッター」シリーズとともに成長してきた大人たちが今でも「魔法界」というファンタジー世界に浸れる創意工夫が込められている。

 

じゃあ「ハリー・ポッター」を観ていない人々や、子供達は楽しめないのかというとそんなこともない。

この「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」はニュートがノー・マジ(「マグル」のこと。非魔法族の人々のアメリカでの呼び名)のジェイコブ・コワルスキーという人物に出会うところから始まる。

彼はある日突然、今まで知らなかった「魔法界」や「魔法使い」と出会う存在であり、それは「ハリー・ポッターと賢者の石」のハリー自身と似ている。

それまで「ハリー・ポッター」シリーズに親しんでこなかった人たちは、非魔法族である彼の純粋な視点を通して新鮮な「魔法界」を体感することができるのである。

ジェイコブのように驚き、恐れ、感動する。

 

今更、ちっちゃなダニエルくんが活躍する児童書原作の「ハリー・ポッターと賢者の石」から見始めるのが少々抵抗があるという大人の方も「ファンタビ」ならば入り込みやすいと思う。

 

まとめ

「ファンタビ」はいいぞ。

 

「原作ファン&映画ファン納得の製作陣」と「オタク歓喜要素」と「一見さん歓迎の新しい冒険」と、「魅力的なキャラクター」が全て盛り込まれたこの「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」本当に最高の作品であり、今後が期待できるシリーズである。

シリーズとしては次に公開されるのがまだ2作目で今からでも全然追いつけるし、心や時間に余裕がある人は是非とも「ハリー・ポッター」シリーズ8作とあわせて観ていただくと相乗効果でかなり面白くなると思う。

 

ディズニーオタクとしては世界最高シリーズの「マーベル・シネマティック・ユニバース」や「スター・ウォーズ」に対する最大のライバルとも言えるシリーズだとも思うが、来年公開の「アベンジャーズ4」で一区切りついて新たな段階に突入するMCUにとっても、人気が低迷しつつある「スター・ウォーズ」にとっても「ファンタビ」の存在はかなり刺激になると思うので、是非ともお互い切磋琢磨してもらいたい。

(「ファンタビ」と同じワーナー・ブラザースのDCユニバースにはもっと頑張ってもらいたい)

この冬公開予定の「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」も実に楽しみである。

 

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*1:ホークラックス。殺されても死なないようにあらかじめ魂を分離しておくための魔法