かなり昔にTwitterで「おすすめの映画何かありますか?」と聞いた時に人から教えていただいた1作。(そのアカウントはもう消しちゃいましたが)
コメディアンであり映画俳優、ライターでもあるウディ・アレンの監督・主演作品。
1977年制作のこの映画は同年のジョージ・ルーカス『スター・ウォーズ』(いわゆる「新たなる希望」)やスティーブン・スピルバーグの『未知との遭遇』などを抑え、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞そして主演のダイアン・キートンが主演女優賞に選ばれている。
そんな作品を今年の夏前にやっとこさ観たわけである。
目次
『アニー・ホール』
ニューヨークに住むコメディアンのアルビー・シンガーは、暗く死にとりつかれ、右派思想を持った人物でありながら、明るく自由で左派思想を持つという全く正反対のクラブ歌手アニー・ホールと交際している。アルビーは彼女との初めての出会いから、数年にわたる交際を振り返りながら、彼女との心のすれ違いはどこだったのかと思いを巡らせる。
交際当初は仲が良かった二人だったが、気づけば彼らは何度も衝突し、喧嘩繰り返し、お互いの心の溝は深くなっていくばかりであった。
ある日アニーは人気歌手の誘いを受け、カリフォルニアへと移住を決意し、二人の関係は決定的に破綻してしまう。
男というのは馬鹿なものです
正直、そんなにはまらなかった感じではあるんですよね。
コメディ出身の彼ならではの「第四の壁」視点を利用した語りは皮肉や自虐やジョークたっぷりで笑えるのだが、あまりにも淡々としすぎていて、普段爆発だらけのブロックバスター映画ばかり見ている僕には少し退屈に思えてしまった。
一方で、アルビー・シンガーという男の存在にはあまりにも身に覚えがありすぎて、グサッと刺さってしまった。
歪んだ思想と高いプライドの持ち主である主人公が、魅力的なヒロインを支配していたつもりが、振り返れば依存しているのは自分の方であったと気づく。
上から目線で彼女に「与えている」つもりで得意になって、与えたものから彼女が得たものには否定的で尊重しない。自分の思い通りにならないことにイラつき、不満をぶちまける、いやぁ〜〜〜情けない男の話です。
それは「昔の(もしかしたら今の)自分のことなんじゃないか」という嫌〜なリアルさが襲ってくるすごい映画です。身の覚えがあるからこそなんだろうけど。
「自由で美しいアニー・ホール」を正しい存在として描きながら、どうしようもない「アルビー・シンガー」にはあまり救いをもたらさないところも、現代にも通じる社会性が反映されているようにも思う。
あまりハマらなかったので何度も繰り返し見たい映画ではないですが、爆発ばっかりの大作映画に疲れたらちょっと一休みで観てもいいんじゃないでしょうか。
名作と言われるだけあり、好きな人がいるのにも納得。
ディズニーやカートゥーンファン的には白雪姫の女王さま(もどき)が登場するのでちょっと面白いかも。
コニーアイランドが登場し、ゴーカートが彼の心理的状況を表す遊園地映画でもあります。
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