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『ミッキー誕生前のウォルト』エンタメの王者の知られざる過去

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12月5日はウォルトの誕生日、ということで

 

『ミッキー誕生前のウォルト』(Walt Before Mickey)です。

このブログでも幾度となく紹介している映画ですが、かなり前に観て以来私も観ていないのですが、結構好きな作品です。

 

ディズニーファンにとっては「ウォルト・ディズニーの苦難の時代」は多分常識的に知られていると思うのですが、一般の人はどうなのだろうか。

もし知らない人がいれば、あのエンタメの王者・金の亡者ウォルト・ディズニーもこんな苦労をしていたのだよ、のほぼ「苦労」だけで構成されているこの作品を見ていただければ、ちょっとはウォルトの印象も変わるのではないかな。

 

私は大昔にNetflixで見たのだけど、かなり昔に解約したので

今は観れるのかどうか知らない。

観れたら観てください。

 

目次

 

『ミッキー誕生前のウォルト』

本作はティモシー・スサーニンなる人物が、ウォルトの実の娘、ダイアン・ディズニー・ミラーとともに書いた伝記が原作であり、それをコア・レ監督が実写映画化したものである。

書籍の副題がそうであるように、ウォルト・ディズニーの若かりし頃、まだ少年時代の1919年ごろからミッキー・マウスが誕生する1928年の時代を描く。

 

マーセリンの馬小屋で落書きをし、父イライアスに怒られたり、カンザスシティに移住してから学校の友達とチャップリンの真似をしながら短編映画製作に明け暮れ、そしてアニメーションに出会ったり、そして衛生兵として戦争に参加し、そのまま父の元から家出をしたり、という風に、伝記でよく知られている彼の半生を描いていく。

 

ロイ・ディズニーのサポート、アブ・アイワークスとの出会い、リリアンとの恋

ディズニーファンならば誰でも知っているような名前が次々と登場するのがこの映画の面白いところでもある。

 

カンザスシティに再び戻ってきたウォルトは新聞の漫画を描く仕事を始めるが軌道に乗らず、兄のロイ・ディズニーの助けを借りて、広告デザインの仕事をもらう。そこで知り合ったのがのちにミッキー・マウスの実質的な生みの親となるアブ・アイワークスである。

ウォルトとアイワークスはともに会社を成立するも、ウォルトのアニメーターとしての方が仕事が忙しくなり実質的に会社は頓挫、それでも新しくLaugh-O-Gram Studioを設立したウォルトについていくウォルトの良き理解者であり友人としてアイワークスの存在は描かれている。

実際、初期からミッキー誕生の瞬間までウォルトとともに活動した、唯一と言ってもいいアニメーターがアブ・アイワークスである。

映画には描かれていないが、彼は後年一度ディズニー社を離れるも、再び舞い戻ってくる。

 

また、ロイ・ディズニーも経営面でウォルトを支え続けた人物として広く知られている。

ウォルトには兄が3人、妹が1人いるが、上の兄弟2人は早く彼らの父イライアスの厳しい教育に嫌気がさして家出し、音信不通となっている。

その中でも歳が近く、子供部屋も同じだったロイにウォルトは幾度となく頼っていた。

ウォルトの死後は彼の意思を継ぎ、フロリダにウォルト・ディズニー・ワールドを作り上げた人物でもある。

 

また、アニメーション制作が軌道に乗り始めると、ウォルトは多くの作品を早く制作するために人員を増やしていく。当時としては珍しく、彼は女性を積極採用し、その中のひとりリリアン・バウンズと恋に落ちる。

映画の中では絶頂とも言える時期に、彼はリリアンと結婚し、家庭を持つが、その後もウォルトを取り巻く仕事の環境は良くない方向へと変化していく。

 

宿敵チャールズ・ミンツ

こちらも知る人ぞ知る、ウォルト・ディズニー最大の敵と言ってもいい人物、チャールズ・ミンツが本作はヴィランのような扱いで登場する。

 

ハリウッドのアニメーション界支配するような有力者で、ハリウッドでウォルトにアニメ制作の仕事を依頼し、そしてユニバーサルとの契約を結ばせた人物でもある。

彼はウォルトに新しいオリジナルのキャラクター「しあわせうさぎのオズワルド」作らせて、それが大ヒットした後、ディズニー社からユニバーサル社に配給手数料を支払うように要求、それをウォルトが拒否するとミンツはディズニー社からアニメーターの引き抜きを始める。

また、オズワルドの著作権が配給会社であるユニバーサルにあることが発覚すると、ウォルトはオズワルドの制作を諦めざるを得なくなってしまう。

残ったのはアブ・アイワークスなどの少ないスタッフのみだった。

 

余談だが、『カールじいさんの空飛ぶ家』に登場する冒険家の名前は「チャールズ・ミンツ」となっており、映画冒頭の登場の時点で誰が本作の悪者なのか、分かる人ならわかるようになっている。

 

苦労人、ウォルトとしての一面

冒頭で示した通り、本作ではウォルト・ディズニーのハリウッドの覇王としての一面ではなく、苦労人としての一面を主に描いている。

映画の中でも事業が上向き、成功を掴みかける場面はいくつか出てくるが、その度に何らかにつまづいてしまうのがウォルト・ディズニーの若かりし頃の真の姿だ。

貧しい生活に、ゴミ箱を漁って食べかけのサンドイッチを拾ってしまうという惨めな描写は、非常に痛々しく、苦しく、のちに世界を股にかける一大企業に成長する会社の代表とはとても思えない。

ウォルト・ディズニーを演じるトーマス・イアン・ニコラスは決してウォルトに似ているとはいないが、その憂いを帯びた瞳と、常に柔らかな笑顔を携えている姿、そして切羽詰まると悲しそうに怒りを露わにするその表情は、何事にもオプティミストな精神で希望を抱いていたウォルトを演じるのにはとても向いていたと思う。

 

ネズミのモーティマーとディズニーの復活

そんな貧しさのさなかで、心を許せる友人としてのペット「ネズミのモーティマー」が、本作の終盤に登場する。

ここからは、皆の知っているミッキーマウスの誕生のシーンだ。映画はここで終了する。

あくまでも、「ミッキー誕生前のウォルト」ということで、その後の成功は描かれない。

良くも悪くも、彼の生活はこの一匹のネズミの誕生で激変するのである。

 

この映画で伝わるのは、ウォルト・ディズニーという人物がいかに自分の信じる芸術に対して妥協を許さない人物であるかということだ。

こだわり続ける男である一方で、その芸術が思わぬ方向に進もうものなら、苦しみながらも切り捨てる事を選ぶというのがウォルトで、その最たるものが「しあわせうさぎのオズワルド」だろう。

オズワルドの権利は当時のディズニーCEO(出戻りして今もCEOだが)ボブ・アイガーにより2006年にディズニーに返還される。

 

著作権に厳しいディズニー、オズワルドをユニバーサルから奪ったディズニー、ピクサー、マーベル、スターウォーズを…とディズニー社が大きくなればなるほど、「ディズニーってなんでも買収して自分のものにして最悪」と悪者のレッテルを貼られがちであるが、

事の発端はチャールズ・ミンツによるこの事件でもある。

 

この映画は非常にわかりやすく、かつドキュメンタリーほど硬くなくウォルトの半生を描いてくれている。だから、この映画を観て彼の不遇の時代について知識を深めてくれると、私たちディズニーファンは少しは嬉しいと思う。

 

まぁ、なかなか観るのが難しい作品だけど。

 

そしてディズニーファンはこの作品を観た後にウォルト・ディズニー・ファミリー・ミュージアムとか行くと、より感慨深くなるんじゃないだろうか。

 

私も是非、また行きたい。

 

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