Netflix(カナダ版)に『奇跡のチェックメイト クイーン・オブ・カトゥエ』(原題:Queen of Katwe)が入っていたので観た。
ディズニー制作、実話ベース、アフリカのウガンダ共和国にある小さな町カトウェのスラム街を舞台に繰り広げられる大躍進劇。
日本では残念ながら劇場公開がされずDVDスルー(この時代にDVDのみとは!!!!)のみという仕打ちを受けているため、よほどの映画好き(かディズニーオタク)でないと知らない人も多いと思う。
僕は今回初めて観たのだが、めちゃくちゃいい映画だったので是非ともみんなにも観てもらいたいと思った。
ということで今回は『奇跡のチェックメイト クイーン・オブ・カトゥエ』(以下クイーン・オブ・カトゥエ)を紹介しようとおもう。
目次
あらすじ
ウガンダ共和国の小さな町カトウェのスラム街に住む少女フィオナは、夫を亡くした厳しい母と兄弟の4人でトウモロコシを売りながら生活していた。
ある日弟のブライアンがチェスクラブに通っていることを知り、自身も参加する。周りにからかわれながらも、持ち前の強気で立ち向かい、チェスの魅力にとり憑かれた彼女はめきめきと実力を上げていく。
やがてスラムの一角から開花した才能は学生大会、国際大会へとステップアップしていく。
一方で男に言い寄られ家を出てしまった姉や、弟の事故など、貧困と家庭環境は一向によくならず、世界大会での敗北を機に彼女は大きな挫折を経験する。
それでも彼女は諦めず、再びチェス盤へと向き合うのであった。
あわせてこちらのトレーラーもどうぞ。いつ削除されるかはわかりませんが。
こんな「いかにも」な音楽は流れませんがだいたいこんな感じです。
主人公フィオナをマディナ・ナルワンガ、主人公を指導するコーチをデヴィッド・オイェロウォ、フィオナの母をオスカー女優ルピタ・ニョンゴが演じています。
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悲痛なまでに貧しく、明るい
カトゥエのスラム街の描写は、我々日本人にとっては悲痛だ。
想像を絶する貧しさと文化が描かれ、とてもじゃないが生半可な気持ちで観光などできない。子供達は教育を受けられずにトウモロコシを売り、事故にあってもお金がなく麻酔なしで縫合し入院もできず即日退院、家賃もまともに払えず追い出され、新しく住む家には屋根すらない。
チェスクラブでは「臭い」と言われ、初めて訪れたチェスの学生大会の会場ではあまりの環境の違いにホームシックになる子供もいる。普段の生活のせいでそもそもベッドで寝るという発想がなく、床で雑魚寝をする。
作品内ではその貧しさへの不満を爆発させる描写もあるが、基本的には彼らはたくましく、明るく生活している。
ゲームもスマホもない。怪我をしても治療費が払えないからサッカーもできない。字も満足に読めない彼らの唯一の娯楽であり、拠り所であり、自らが戦える戦場がチェスなのだ。
劇中音楽
明るい、に併せて。
この映画は序盤から軽快な音楽と踊りに溢れている。劇中で流れる音楽がめちゃくちゃノリノリなのである。
PVは映画の登場人物が出てきますがネタバレはないです。
詳しくないのでアレだけど、最近ではブラックパンサーのヒットも顕著で、こういうアフリカ文化とヒップホップの融合という音楽の良さを改めて実感させられる。
這い上がり、クイーンとなれ
タイトルのQueen of KatweのQueenは、チェスで名を馳せる彼女のことを表しているだけではなく、チェスの駒のひとつであるクイーンのことも指している。
チェスにおいてクイーンは最強の駒であり、縦横ななめのどのマスにも移動することができる。
劇中軽くチェスのルールが説明されるシーンがあるので、わからなくても問題はないが、将棋と同じく最弱の駒ポーンを相手方の一番手前の列まで移動させると「昇格」ができるようになる。
歩兵であり最弱の駒であるポーンと、スラムに生活している彼女を重ね合わせ、それが「昇格」することでクイーンになる。そういうダブルミーニングである。
(だから邦題の「奇跡のチェックメイト」はめちゃくちゃ余計である)
この映画はチェスの女王となる少女が主人公ではあるが、チェスの描写(戦術や棋譜など)はさほどしっかり描かれていないために、チェスのルールを知らない人でも十分に楽しめる。(僕はチェスの駒の動かし方くらいは知っているけど普段プレイするわけじゃないのであのスピードでやられてもわからない)
だが、劇中最後のゲームだけは比較的しっかりと盤上を映し、彼らの緊張感と知性のぶつかり合い、そして勝利をもぎ取る瞬間のカタルシスが描かれている。
夢と執念、家族の愛の物語
この作品ではディズニーの王道がこれでもかと描かれている。
貧しく、苦しい生活、そこから這い上がりたいという「夢」
そして挫折を繰り返しながらもそれを追いかける「執念」
過酷な試練を支え合い助け合う「家族の絆」などである。
それでもこれをアニメーションで描かずに実写としたのは、チェスというゲームの地味さもあっただろうし、それ以上に彼らの貧困をよりリアルに、丁寧に描きたかったのかもしれない。
貧困を描く上でこの映画はさらに「教育の重要性」も訴えかける。
これもディズニーがかねてから力を入れて映画に取り入れている要素である。
主人公フィオナの母やフィオナの姉ナイトは、「チェスと出会えなかったフィオナ」そのものである。
貧しさゆえに他人、そして家族に厳しくなってしまった母と、貧しさから抜け出すために男の元へと行ってしまう姉のナイト。特にナイトの描写は典型である。
一方でチェスと出会い、才能を認められたフィオナと弟のブライアンは、才能を伸ばすために文字を習い、学校へも通うこととなる。
それでも彼らはお互いを認め合い、寄り添いあい、支え合いながら、貧しさを乗り越えて生きていく。
まとめ
クイーン・オブ・カトゥエはいいぞ。
これが日本公開されなかったのは本当に悔やまれるなと思います。
A Wrinkle In Timeより良かったよ。
さすが実話ベースの物語といった感じで、エンディングがとても良かったのでオススメです。
ディズニー好きなら是非見て欲しいですね。
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