ディズニー映画

『ラマになった王様』見くびるな、これはただのコメディではない。

2000年代のウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品は商業的にはかなり苦戦していた、いわゆる「暗黒期」と呼ばれていた時代である。だが、奇妙で面白い作品がたくさん産まれたという点では、かなり豊作の時代だったように思う。 いつか「パッと…

『あの夏のルカ』大胆な想像力と繊細な心情描写。少年たちが選んだ未来。

非常にシンプルな映画である。 メッセージ性もそれほど強くない。 だからこそ心に訴えかける感動はよりダイレクトなものになる。 2021年6月18日にDisney+で配信開始されたピクサー長編最新作『あの夏のルカ』(原題:Luca)はそういう映画だった。 96分に凝縮…

ディズニー初期のオムニバス長編って、実際どうなの?

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオには暗黒期が3回ある。 1回目がウォルト時代の1942年ごろから『シンデレラ』が発表される1950年ごろまで、 2回目はウォルトの死後、1970年ごろから『リトル・マーメイド』で復活する1989年ごろまで、 そして3…

『クルエラ』先読み不可能で魅力的、邪道で王道なディズニー実写化最高傑作。

こんなにおもしろいなら、早く言ってくれればよかったのに。 毎度のように私は 「公開日が近づくと期待値がダダ下がりしており「どうせ大したことないんでしょ?」みたいなツイートをしてしまう病」を発症しており、 特に今回は公開されていたトレーラーから…

『白雪姫』が描く生きた感情表現。悪に打ち勝つのは、愛と人間らしさ。

1937年、すべての始まりとも言える世界初の長編カラーアニメーション映画が誕生する。 ウォルト・ディズニー制作『白雪姫』(原題:Snow White and the Seven Dwarfs)である。 目次 目次 すべての長編アニメーション映画の元祖 果たしてテーマは「真実の愛」…

【MCUに出てくる楽曲まとめ その5】アイアンマン/スパイダーマン:ホームカミング

鬼クソひさしぶりですが、地味にアクセスのあるMCUで流れる既存曲紹介シリーズです。 なんでこの2作やねん、というと とりあえずDisney+にないやつからやっていこうかなと思ったというだけです。 目次 目次 アイアンマン Back In Black / AC/DC Damn Kid / D…

ピクサーの監督を語る その3:ブラッド・バード

主要な人材の紹介が終わりつつある。 長らくお待たせしてしました。 というわけでこのブログではジョン・ラセター以上に語る機会の多い、ブラッド・バード監督を今回は紹介します。 紹介するっていっても、もっと詳しい人はいくらでもいるのだろうけど。 映…

『ノマドランド』居場所を見つけるためには、居場所を捨てなければいけない。

ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞、 そしてアカデミー賞作品賞最有力候補である、 サーチライト・ピクチャーズ制作『ノマドランド』を観た。 21世紀FOXがディズニーに買収され、20世紀スタジオ、サーチライト・ピクチャーズがディズニーのものとなって早1年。…

『ラーヤと龍の王国』信じることは「理解すること」未来を見据えた現代の物語。

ディズニー配給の劇場公開作品としてはピクサーの『2分の1の魔法』以来、 ウォルトディズニーアニメーションスタジオ作品としては一昨年の『アナと雪の女王2』以来となる新作映画『ラーヤと龍の王国』(原題:Raya and the Last Dragon)を観た。 本作は劇場…

『スターガール』が描く「ありのまま」が本当に行き着く先。

遅ればせながら、ディズニー+オリジナルムービーの『スターガール』を観た。 米国のオーディションテレビ番組『アメリカズ・ゴット・タレント』で優勝した少女、グレース・ヴァンダーウォールが主演で、米国でヒットした同名の児童向け青春小説を映画化した…

ピクサーの監督を語る その2:アンドリュー・スタントン

というわけで、第2弾である。 アンドリュー・スタントンはディズニー界隈で有名というより、映画ファン・ドラマファンに有名な印象。 順当に行けば2番目はピート・ドクターだろって感じだが、彼はトリにとっておきたいな・・・という理由で、2番目はスタン…

『ソウルフル・ワールド』が問い直す生きる意味。何者でもないあなたでもいい。

2020年のクリスマス当日の17時。 ディズニープラスにとんでもない作品が投下された。 それがディズニー/ピクサー最新作『ソウルフル・ワールド』(原題:Soul)である。 ディズニー/ピクサーとしてのセオリーは着実に守りながら、 その内容はとても子供向…

ピクサーの監督を語る その1:ジョン・ラセター

ピクサーの、監督について語りたいとずっと思っていた。 ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品ほど多岐に渡らず(しかも初期はウォルトの意思が非常に強い)シンプルで、比較しやすいだろうという部分もあり、 CG作品というのもあり作画の癖…

『オリバー/ニューヨーク子猫ものがたり』ディズニールネサンス期の夜明け。

キャプテン・アメリカを演じた俳優として有名なクリス・エヴァンスの飼っている犬の名前が「ドジャー」であることを、つい先日知った。 クリス・エヴァンスは映画『ギフテッド』の撮影で訪れた収容施設でとある保護犬を引き取り、その犬に「ドジャー」と名前…

『ベッドかざりとほうき』戦争なんて馬鹿馬鹿しい、世界は魔法に溢れてる。

私が『ベッドかざりとほうき』という作品を知ったのは、 昔記事にも書いたディズニーロックカヴァーCD『MOSH PIT ON DISNEY』を手に入れた時だ。 このアルバムでは大阪出身のthe miceteethというバンドが『ベッドかざりとほうき』の『The Age of Not Believi…

真実だから色褪せない『美女と野獣』の素晴らしさ。

東京ディズニーリゾートに『美女と野獣』をテーマにしたアトラクションが登場し、運良く先日の旅行中に体験することが叶ったために、個人的に完全なる『美女と野獣』ブームが来ている。 当初東京ディズニーリゾートのこの新エリアが発表された時、 比較的新…

諦めずに立ち向かえ。映画『トゥモローランド』で紡ぎ出す希望。

大好きな映画でも、手放しで褒められない作品は結構ある。 映画『トゥモローランド』もその一本である。 過剰宣伝、それを受けて抱いた僕たちの過剰な期待、その表層部だけが一般層に広がって根付いてしまった都市伝説、肝心の中身、映画としての面白さ・・…

『スパイ in デンジャー』ヒーローが生んだヴィランへの完璧な回答。

2019年の3月にディズニーが20世紀FOXの買収を完了させ、日本では2020年の頭から20世紀FOX作品(また社名は20世紀スタジオに変更となる)がディズニーにより配給されることとなった。 そんなスタジオの過渡期の中で、20世紀FOXが抱えるアニメーションスタジオ…

実写版『ムーラン』不死鳥が地獄に堕ちる前に。

もう地獄に堕ちている、かもしれない。 実写版『ムーラン』が燃えている。 公開されるかなり前から、主演のリウ・イーフェイの「香港警察(中国共産党)支持」の政治的な発言により批判を浴びていた本作だが、 出演俳優をアジア系で固めたにも関わらず、主要…

『ハワード -ディズニー音楽に込めた物語』で、名作の見え方が変わってしまった。

By May be found at the following website: http://www.howardmovie.com, Fair use, Link ディズニー+オリジナル作品『ハワード -ディズニー音楽に込めた物語』(以下『ハワード』原題:Howard)を観た。 このドキュメンタリー映画は、アラン・メンケンと…

実写版『ホーンテッドマンション』怖くたっていい。もっと怖くてもいいのに。

実写版『ホーンテッドマンション』のリブートの噂が出ている。 theriver.jp 『パシフィック・リム』や『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロが監督で再映画化の噂が出ていたのは遥か昔の10年前、ということでおそらく企画は立ち消え、新たに…

「つまらない」と言ったら負け。不条理コメディ『銀河ヒッチハイク・ガイド』

映画や小説やアニメなど、様々なカルチャーに触れた時「いったいどんな頭をしていたらこんな設定が思いつくのだろう?」と思う時は度々あると思う。 J.K.ローリングの『ハリー・ポッター』シリーズや、ティム・バートンの『ナイトメアー・ビフォア・クリスマ…

『トレジャー・プラネット』はたぶん史上最高のディズニーアニメーション。

『美女と野獣』とか『アラジン』とか『ライオン・キング』とか、ここ5〜6年だったら『アナと雪の女王』とか『ベイマックス』とか『ズートピア』とか。 ディズニーは時々、観ていて本当に文句のつけようがないくらい頭から終わりまで面白いアニメーションを作…

『2分の1の魔法』気づいていないだけで、みんな既に大事なものを持っている。

ディズニー/ピクサー映画『2分の1の魔法』(原題:Onward)の初報を聞いたのは2017年のD23 EXPOだったと思う。 当時はその世界観から「Suberban Fantasy World」というタイトルがつけられていた。 ピクサーとしては2017年の『リメンバー・ミー』以来の、続…

本当の『ピートとドラゴン』を僕はまだ知らない。

長らく日本ではVHSを最後にソフト化が実現しなかった作品『ピートとドラゴン』 かねてよりディズニーチャンネルにて吹き替え版の放送があったり、配信サイトにて有料レンタルが可能だったりしたようだが、 ディズニーデラックス(現ディズニープラス)の到来…

Pixar SparkShorts『ループ』誰もが気持ちよくなれる答えなんて、現実ではなかなか見つからない。

By Source (WP:NFCC#4), Fair use, Link 前回に続き、Disney+で公開されているPixar SparkShortsから今回は『ループ』という作品を紹介する。 Disney+ (ディズニープラス) 発売日: 2020/07/21 メディア: アプリ ピクサー・ショート・フィルム Vol.3 [Blu-ray…

Pixar SparkShortsと『殻を破る』無視されてきた人々にも居場所がある。

By Source (WP:NFCC#4), Fair use, Link サービス開始から約1年。 ディズニージャパンのストリーミングサービス「Disney DELUXE」が2020年6月11日に米国ディズニーのストリーミングサービスと同名の「Disney+」に変貌した。 それにより今まで公開されること…

『チキン・リトル』どう遠回りしても最初から答えは出ている。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品で、最も失敗作と言われているのが『コルドロン』という映画なのは以前このブログでもお話しした。 実はディズニーファンからも映画ファンからもことごとく嫌われている映画がもう一本ある。 それが今回…

『野性の呼び声』監督クリス・サンダースがこだわった「犬視点」の物語。

僕が『リロ・アンド・スティッチ』の大ファンであることは、 このブログを日頃からご覧になっている方には もしかしたら周知の事実かもしれない。 『リロ・アンド・スティッチ』という映画はディズニーのアニメーターであった クリス・サンダースによってキ…

『わんわん物語』冒険よりお家が一番。たとえポリシーを曲げても。

ディズニー映画といえば、夢・魔法・大冒険映画というイメージが強くあるが、意外と「お家が一番」的な映画を作っている時期がある。 ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ第15作目『わんわん物語』もその一つである。 だがこの物語、中盤とエン…