20世紀FOXの『グレイテスト・ショーマン』を観て、僕はいまいちピンとこなかった、というのは以前このブログでも話した通りだ。
ストーリーの力押し具合にも冷めてしまったし、みんなが高評価する音楽の部分も、そんなに興奮しなかったところがある(ヒュー・ジャックマンとザック・エフロンのデュオの曲と、ザックとゼンデイヤのシーンはめちゃくちゃテンションが上がった)
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この映画を観て思い出した1作がある。
ディズニーチャンネルオリジナルムービー『ハイスクール・ミュージカル』だ。
僕はこの映画が好きで『ハイスクール・ミュージカル』は最高の映画だと思っていた。
僕が大学生になり、改めて見返すまでは。
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目次
『ハイスクール・ミュージカル』とは
『ハイスクール・ミュージカル』(原題:High School Musical)は前述の通りディズニーチャンネルオリジナルムービーで、いわゆる劇場公開がなくテレビ放送されるためだけに作られた映画である。
『グレイテスト・ショーマン』に出演しているザック・エフロンの初主演作だ。
監督は現在『ディセンダント』のシリーズを製作しているケニー・オルテガ。
バスケの天才少年トロイと、数学の天才少女ガブリエラが大晦日パーティのカラオケ大会で偶然デュエットしたことをきっかけに恋に落ち、音楽に目覚め、校内の演劇部主催のミュージカルに挑戦しようとする物語である。
全編に渡り「常識にとらわれずに、自由に好きなことをやること、何も恥ずかしくはない」というメッセージが込められており、アメリカのハイスクールらしいテンションの高さ、明るさと物語のテンポの良さ、楽曲の軽快さなどが魅力である。
トロイ役のザック・エフロンとガブリエラ役のヴァネッサ・ハジェンズが当時ガチで交際していたことも話題になっていた。(現在は破局)
そんなこともあってか、恋愛シーンの演技のヴァネッサ・ハジェンズの演技は完全なる「恋する乙女」の瞳で、とても素晴らしかった。
これまで「ハイスクール・ミュージカル2」「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」(原題は3)と続編が公開されており、「ザ・ムービー」はその名の通り劇場公開もされた。
青春バイアス
『ハイスクール・ミュージカル』がNHKで放送されていた時僕は高校生3年生だった。
学園祭のシーズンにクラスメイトの女の子が『ハイスクール・ミュージカル』のDVDを持ち込み、ストーリーはオリジナルだがラストには「We're All in This Together」を歌って踊る劇をやった。
事もあろうに僕はクラスの文化委員で、行動力のある女子たちに必死に食らいつきながらも、わりと真面目にクラスを学祭のステージ部門の優秀賞に輝かせるために努力していた。
当時はクラスのリーダー的グループ(別にイジメがあったわけじゃないが)のうちのひとりと付き合っていたし、なんというか今冷静に考えてもあれは結構「リア充」だったんじゃないかと思う。
なんなら高校1年の途中までバスケ部だった。
受験を控えピリピリし始める中でいっさい手を抜かなかった学園祭。
そんでもってクラスメイトとの恋愛。
そんな中で観た「ハイスクール・ミュージカル」
劇中でクラスみんなで踊った「We're All in This Together」
いろんな要素が重なって青春バイアスがかかり、この「ハイスクール・ミュージカル」というテレビ映画を「最高の作品」として認識するようになっていた。
大人になって
大学生の頃だと思う。
CDショップの3本買えば1本1000円コーナーで僕は「ハイスクール・ミュージカル」のDVDを見つけた。
懐かしいなぁと思って買って、ワクワクしながら観た。
だけど、イマイチピンとこない。
ミュージカル的な展開を差し引いても、やっぱり物語が唐突すぎるような気がするし、なんかちょっと安っぽく、寒い。
あれから色々な映画を見るようになったから、冷静に映画を判断できるようになったとも思うのだけど、それ以上に僕は、もう当時のようなときめきを持ち合わせていないんだなと気付かされた。
大学に入ってから付き合っていた恋人とも別れ、オタク活動は加速し、周りの人間がどんどんオシャレになる中でなんとなくダサいまま大人になってしまった。
誰がどう見てもリア充ではない。
「最高の映画」だと思っていた「ハイスクール・ミュージカル」その時初めて自分の中の青春バイアスによって作り上げられたものであるとわかった。
それでも「We're All in This Together」で泣いた。
それからまた数年後、今から2〜3年前だと思う。たまたま登録していたdTVに「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」が入っていて、「そういえば観てないな」と思って観た。
「2」はディズニーチャンネルで放送していたのを観たけど、とりあえずシャーペイがウザかった記憶しかなく、「1」の青春バイアスにも気付かされた後だったので、それからかなり興味が薄れていたのもある。
ほとんど期待せずに「ザ・ムービー」を観た。
やっぱり、というかなんというか。
物語は唐突なのに単調で、「1」とも「2」ともそれほど大きくクオリティやスケールが上がった感じもしない。
それでも、最後の卒業のシーンではわんわん泣いた。
アレンジされた「We're All in This Together」でもろもろがフラッシュバックして、心をぶわっと揺さぶられた。
そしてグレイテスト・ショーマン
差別を描くミュージカルとしては、僕としてはまたまた同じくザック・エフロン主演の「ヘアスプレー!」が傑作だと思っている。
まぁ、それはそれとして、『グレイテスト・ショーマン』にはザック・エフロンのほか、同じくディズニーチャンネル出身のゼンデイヤが出演している。
19世紀のアメリカを描いた劇中、ザック演じるフィリップは黒人であるアンとの恋愛を両親に非難される。
「グレイテスト・ショーマン」が差別に反対し立ち向かうという展開ではなく、いろんな問題を放置しながら、あくまでもゴリゴリのエンターテインメントで押し通すような形で物語を完結させたのはちょっと残念ではあるが、ザックとゼンデイヤのシーンはやはり美しく、まだ幼かった彼らとともに歳を取ってきた自分にとってもグッとくるシーンである。
それ以上に、この物語を観た後に「ハイスクール・ミュージカル」を観ると、白人と黒人の恋愛が、基本的にはなんの違和感もなく受け入れられているということにほっこりする。
もちろん現在でも差別は絶えないけれど、前提として「なんらおかしいことではないと言える」というのが100年先では約束されている。
Twitterを観ていると、年齢関係なくみなさん楽しんでいるので、単に自分に合わなかったというだけだろう。
お金のかかり方が全然違うので当然クオリティとしては「グレイテスト・ショーマン」のほうが上だ。
僕自身10代の頃、それこそ「ハイスクール・ミュージカル」を観ていた頃にこの作品を観ていたら大絶賛していたかもしれない。
作品の内容こそ、ミュージカルというところ以外被るところがないこの2作だけど、僕の中では比較的延長線上にあるし、なんとなく似たような立ち位置にある。
考えが変わるかはわからないけど、みんなが、絶賛していると、やはり改めてもう一度観てみたい気になってくる。
まとめ
「ハイスクール・ミュージカル」は大した作品じゃない。
映画をそんなにたくさん観ていないような、青春真っ盛りの若き子供達に向けて作られた映画だ。
20代後半の僕らが観るとやっぱり陳腐に思えるかもしれない。
それでも「ハイスクール・ミュージカル」が大好きだという事実は消えないと思う。
あの青春時代というのは、すごく不器用で、まぬけで、必死で、愛おしくて、大切な時間だった。
今高校生の人たちにはぜひ、自身とトロイやガブリエラを重ね合わせて観てほしい、青春してほしい。彼らにはもう「ディセンダント」という新たな青春があるのかもだけど。
大人になってからも楽しめる皆さんはぜひそのままキラキラした気持ちを持ち続けていてほしい。
余談だけど、D23 EXPO 2017のアラン・メンケンコンサートが始まる前の会場でBGMでこの曲が流れて、みんなが歌い始めて大合唱になったんだよ。
やっぱり、みんなにとっても青春なんだ。
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