生きていくなんてわけないよ

世界を旅するDオタの旅行記/映画レビューブログ

「ノリ」重視の軽快アニメ映画『モンスター・ホテル』の面白さと弱さ。

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ハロウィンが近いので、ハロウィンっぽい映画をいくつか紹介していこうと思います。

忙しいのでちゃんと書けるか知らんけど 笑

 

 

カナダに住んでいた時、夏前ごろからディズニー映画を見にいくと頻繁にやっていた予告編があって、それがソニー・ピクチャーズ製作の「Hotel Transylvania 3(邦題:モンスター・ホテル クルーズ船の恋は危険がいっぱい?!)」だった。

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ディズニー映画を追いかけていると、これ系のCGアニメーションの情報は他社作品でもなんとなく入ってくるので 「モンスター・ホテル」という映画の存在自体は知っていたのだけど、見たこともなかったし、どういう作品かも知らなかった。

 

けどこの「モンスター・ホテル」シリーズは3まで劇場公開作品で作られるほどには実は海外では大ヒットしている。

ソニー・ピクチャーズ・アニメーションは「オープン・シーズン」や「くもりときどきミートボール」などを制作した会社で、近年は実写版「ピーター・ラビット」が記憶に新しい。

ドリームワークスの「シュレック」や「ヒックとドラゴン」「カンフーパンダ」「マダガスカル」などやイルミネーションズ「怪盗グルー」「ミニオンズ」「SING」などに続く、ディズニー作品のライバル的存在である。(なぜか日本の市場でディズニーのライバルになるのは「コナン」と「ポケモン」なんだけど)

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どれくらいヒットしているかというと、この夏フランス系ホテルブランド「Novotel(ノボテル)」が大々的にコラボしていたくらい。Facebookやinstagramでこれ関連のWEB広告が散々表示されていた。

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主演のドラキュラ役をアダム・サンドラー、娘のメイヴィス役をセレーナ・ゴメスが務めいるほか、テレビ番組「サタデーナイトライブ」出身のコメディアンが多くサブキャラの声優を務めている。

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日本ではおそらく知名度が低い映画だろうし、存在を知っている人もおそらくディズニーやピクサーの作品だと思っている人も多いかもしれない(よく見ればわかるけどディズニーやピクサーとはいろんな面でかなり違う)

それでも現在日本のディズニーチャンネルでもメイヴィスが主役の2Dアニメシリーズも放送されていて、じわじわと人気が出てくるかもしれない。

 

僕自身はこの映画にとりわけ思い入れもなく、今後日本での人気がどうなろうが別に知ったこっちゃないのだけど 笑

大人の僕でも普通に笑える面白い作品で、またディズニーやピクサーとは毛色の違う新鮮さもあったので紹介します。

まぁ、ハロウィンだし。

 

目次

 

あらすじ

愛娘メイヴィスを溺愛する主人公・ドラキュラ伯爵は、亡き妻の夢であった、モンスターだけが訪れることのできる世界一安全なホテル「ホテル・トランシルヴァニア」を建設し、その支配人となる。

モンスターたちは過去のトラウマから「人間は怖い存在である」と信じていたため、ホテルは人里離れた山奥に作られ、道のりには様々な罠が仕掛けられていた。

メイヴィスの118歳の誕生日、ホテルではドラキュラの友人たちを集めて盛大なパーティーを計画していた。ところがそこに20代の人間のバックパッカー、ジョナサン(ジョニー)が迷い込んでしまう。安全神話が崩れることを危惧したドラキュラはジョニーをフランケン・シュタインの親戚に仮装させ隠そうとするが、なんとメイヴィスがジョニーに恋をしてしまう。

 

『ファインディング・ニモ』+『モンスターズ・インク』

この「モンスター・ホテル」言ってしまえば「ニモ」と「モンイン」に恋愛要素を混ぜたお話である。

モンスターが人間を怖がる世界に人間が迷い込むというプロットは「モンスターズ・インク」だし、ドラキュラがメイヴィスのためを思って過保護になってしまい失敗する描写は「ファインディング・ニモ」的である。

ディズニーやピクサーでも会社内作品ですら内容被りはあるし、ディズニーなんかそもそも原作付き作品の映画化が主だったわけで、いまさらパクリだのなんだのいうつもりはないし、現代で全く新しいストーリーをゼロから生み出すなんてのは不可能である。

 

それよりもこの3要素をバランスよく織り交ぜたことを評価すべきだと思うし、映画としてのテイストは真面目になるはずのシーンでもふざけまくっていて、ピクサー作品などとはかなり違う。

 

 ドラキュラ伯爵がなぜ人間を嫌うのかというところは物語終盤で明かされるが、そこに到るまで「なぜ他のモンスターたちもこぞって人間を怖がるのか」というのがピンとこないのがちょっと惜しいかもしれない。

それと嫌っている割には(子供向けアニメだからとはいえ)あまりジョニーを殺そうともしないところは、「本質的には人間を嫌っているわけじゃないのかもしれない」という気分にもなる。

 

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「ビビン」とくる恋愛

メイヴィスとジョニーの恋愛部分もこの映画を構成する一つの要素である。

この映画のメインヒロイン、メイヴィスは「モンスター・ホテル」シリーズでおそらくもっとも人気のキャラクターだろう。キャラデザ、動き、セレーナ・ゴメスのティーン的な声も全てが可愛い。口が小さくてちょっとアゴが出すぎている気もするが、それでもめちゃくちゃ可愛い。これは「父親似」を意識しているんだと思う。

 

劇中メイヴィスはフランケンに仮装したジョニーに一目惚れしてしまう。

118年間(モンスターの世界での成人年齢)ホテルの外に出たことがなく、同年代と遊んだことがなかったメイヴィスが、初めて見た同年代の男の子に恋をする。

ここまでは「たったそれだけで恋に落ちるかよ」という感じの、よくあるご都合主義的展開なのだけど、この「ただの一目惚れ」を恋愛に格上げするだけの演出がしっかり描かれていたのも、それが「(父とは違い)ちょっと危険な世界を見せてくれる」という理由付けが感じられたのも良かった。

「ノリ」重視

この「モンスター・ホテル」という映画はくどいくらいにベタなギャグが詰め込まれている。コメディアンが多く声優を務めているのも理由かもしれない。

ミュージカルでこそないが、劇中ではパンクが演奏され、クラブミュージックが流れる。

 

ジョニーという存在はモンスターたちの退廃的な日々に新しい風を吹かせた「異質」な存在であることが強調して描かれている。それは映画を見ている僕らには「ちょっとウザい」くらいの描かれ方なのだけど、その世界を知らないモンスターたちにとっては彼の存在は非常に楽しい存在だったことがわかる。

 

そこがメイヴィスが彼に惹かれた理由でもあり、ドラキュラ伯爵や他のモンスターが心を動かされた部分でもある。

 

ちょっと気になったところ

キャラクターデザインとキャラの「動き」

「モンスター・ホテル」は面白い。

面白いのだけど、あまり思い入れがない理由の一つとして、キャラクターデザインが実に微妙というところがある。

正直なところ、ディズニーもピクサーも、予告編公開時点ではあまりキャラクターが好きになれないということが多いのだけど、映画を見ると大好きになっていることがある。

でも「モンスター・ホテル」は見る前と見た後でそんなに大きく変わらない 笑

 

キャラクター自体が過去のホラー映画や伝説からの引用というのが多いために、絶妙に「個性」が薄く、インパクトにも欠ける。

もうそれは主人公のドラキュラ伯爵を見れば明らかで、同じ中年や老年のおじさんを主人公にするにしても、ピクサーの「カールじいさん」の哀愁や奥深さ、イルミネーションズの「怪盗グルー」の卑しさや偏屈ぶりなど、キャラデザインそのものが体現している部分というのが弱く感じられる。

 

また、キャラの動きがコミカルで、大振りに簡略化されており「歩いている」というよりもスーッと「横滑り」しているようなシーンが多い。

ちゃんと歩いているシーンもあるのでわざとだろうと思うところもあるんだけど、ちゃんと歩いているシーンも異様に足を大きく動かしていたりして、ピクサー作品の「リアルな動き」に慣れている僕にはどうしてもチープの感じられてしまう部分であった。

映画にかけられる予算だったり映像制作のノウハウだったりの部分が理由なのだろうと思うが、ストーリーとは別の部分で「ピクサーやドリームワークスやイルミネーションズってすごいんだな・・・」と思ってしまうのである。

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日本語吹き替え版

英語と日本語両方で観たのですが、「残念」というか、ありっちゃありなんだけど、本当に見る人を選ぶ日本語吹き替え版でした。

 

ドラキュラ伯爵の声優は超ベテラン、誰もが認める声優こと山寺宏一の、いわゆる一番山ちゃんっぽい声。

その他サブキャラクターをチョー、三ツ矢雄二、若本規夫と大御所で固め、俳優の我修院達也も参加している。

これら大御所声優たちが全力でふざけている。ほんとうにふざけている。

だから面白いし、作品のテイスト的にも大きく外れてはいないんだけど、本当にそれでいいのだろうか?と思ってしまう 笑

 

そして、メイヴィスの声優は川島海荷、ジョニーの声優は藤森慎吾(オリエンタルラジオ)川島海荷さんの声はすごく可愛い。メイヴィスの雰囲気に合っているし本業声優と劣らないシーンもある。あるけど、やっぱり所々棒読み感が強い部分もある。

藤森さんの声もジョニーにぴったりである。コミカルな声優としては評価できる部分も本当にあるんだけど、制作側の悪ノリというか、いわゆる「オリエンタルラジオの藤森慎吾のギャグ」も入れてくるので、そうでなくてもちょっとウザいジョニーのキャラクターに「声優が藤森慎吾である」という余計な情報まで上乗せされてしまう。

 

これは本業声優の方々もそうで、若本さんが演じる透明人間のキャラクターも、「若本感」が強すぎて、どうしようもない部分が出てきてしまっている。

前述した通り「キャラクターデザインや個性が微妙」というところが理由でもあって、結局「中の人の個性」にキャラが殺されてしまっている部分が強く、キャラが喋っているよりも声優が喋っている感がすごいのである。

山ちゃんもすっごく山ちゃんだし。

 

それでも子供は笑えると思うし、実際僕も笑ったシーンは多い。

声優が誰だろうと気にしない人たちは楽しめると思う。けど、純粋に映画を楽しみたい人にとってはかなり余計な情報になってくる気がするので、字幕版での鑑賞をオススメする。

 

吹き替え声優に大物芸能人を起用してクオリティ爆死するのは何もソニピクに限った問題でもないし、「モンスター・ホテル」はそういう意味では実際大健闘している作品だとも思う。

けど、これに味をしめて上手でもない芸能人をガンガン起用するのも、制作側が悪ノリで「日本人にしか通用しないネタ」を盛り込むのは、今後を考えると決していいことではないと思う。

 

「モンスター・ホテル」のテイストであれば、なんとなくOKなんだろうなという気はするけど、映画を製作した本国側がこの「日本語吹き替え版の悪ノリ要素」をどう捉えるかは全くもって未知だし、どこまで本国に確認を取っているのかも謎。

今時SNSで映画を見た人がクリエイター側に容易にアクセスできるため「日本語だからバレない」と思って悪ノリした要素が本国側に伝わって炎上した場合「今後日本では公開しない」という措置だって十分にありえる話だと思う。

 

普通は「本国側に許可取ってないなんてありえないでしょ?」と思うもんだけど、結構許可取ってない案件がゴロゴロしていそうなのが日本の配給業界でもある。

実際SNS経由で炎上してタイトル改題措置までいった話もあるし。

 

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まとめ

マイナスのことも結構書いたんだけど、『モンスター・ホテル』普通に面白いです。

ディズニーオタになるとディズニーだけで結構追いかける作品が多くなってしまうので、なかなか他社作品まで追えないことが多いけど、今回ディズニーチャンネルで放送されていたし、実際気になっていた作品でもあったので観れて良かったですね。

 

あ、書いてないけど映画内の教訓は「ニモ」なので、大人の方はそこらへんを楽しんでもいいかと思います。

 

海外でヒットしたのも納得だし、モンスターが出てくるとはいえ全然怖くないギャグ映画なので、「ハロウィン映画入門」としてお子さんと一緒に観てみたらどうでしょうか。別に物語はハロウィン関係ないんだけど。 

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