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世界を旅するDオタの旅行記/映画レビューブログ

無印/アメスパ/MCU/スパイダーバース…ややこしい4種類の『スパイダーマン』映画の話。

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『スパイダーマン:ホームカミング』初の地上波放送!と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』日本先行上映決定!と先日アカデミー賞長編アニメーション部門受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』のblu-ray発売決定!とスパイダーマン映画が盛り上がりつつある昨今。

『スパイダーマン:ホームカミング』を再評価する記事を書こうと思っていたのだけどその前にハリウッドに溢れるスパイダーマン映画について、あまりよくわかっていない方のために説明してもいいのかなと思って書くことにした。

 

こういう記事は巷にたくさんあふれているけど、自分の理解を深めるためにも新たに書き残しておくのは意味があると思いまして。

 

これを理解することにより

↓この記事とかもちょっとわかりやすくなるんじゃないかな。

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目次

マーベルの倒産・再始動・映画化権の販売

今でこそ日本でも知らない人がほとんどいなくなったマーベル・コミックスだが(一部の人にはファッションブランドと勘違いされてるっぽいが)実は1997年、20年前という比較的最近に、経営難で一度倒産している。

会社を立て直したマーベルは資金を得るためにとある暴挙に出る。

それが「マーベルキャラクターの映画化権の販売」である。

 

これにより「X-men」「ファンタスティック・フォー」などが20世紀FOXへ。

「ハルク」がユニバーサル・スタジオへ。

そして「スパイダーマン」がソニー・ピクチャーズへと権利が売買される。

 

 

マーベルは同時に「アイアンマン」などのキャラクターも販売しようと交渉していたが知名度の関係から購入する会社はなかったようである。(これが後に功を奏する)

X-MEN (字幕版)
ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]  (字幕版)
ハルク (吹替版)

サム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズ 2002〜2007

スパイダーマン (字幕版)
スパイダーマン2 (字幕版)
スパイダーマン3 (字幕版)

そして2002年にソニー・ピクチャーズにより製作されたのが最初の『スパイダーマン』映画シリーズである。

監督は『死霊のはらわた』などのホラー映画出身のサム・ライミ。(そのため「ライミ版」などと呼ばれる)主演はトビー・マグワイヤがスパイダーマン=ピーター・パーカーを演じ、ヒロインはキルスティン・ダンストがメリー・ジェーン"MJ"・ワトソンを演じる。

それまでは実現不可能だったCG映像技術により、マンハッタンの摩天楼を縦横無尽に飛び回る姿が話題を呼んだ。またコメディ要素も多く含み、「ヒーローとしての生活と日常生活・恋愛との両立」など原作にも通じるティーンの葛藤を描き人気を博し、内容的にも高い評価を受け「名作」と呼ばれることも多い。ピーターとピーターの親友ハリー・オズボーン(ジェームズ・フランコ)の間で行ったり来たりを繰り返すヒロインのMJのビッチぶりも話題となり、ここまで嫌われたヒーロー映画のヒロインもそうそういないんじゃないかと思われる。

また『スパイダーマン2』では監督の特性が生きたホラー風の演出が登場するなど作品の特徴もある。

 

この映画は世界的なヒットを産み、先に公開された2000年の20世紀FOX『X-men』とともに「アメコミ映画ブーム」をもたらす。日本でも何度も地上波放送されていたのでこの『スパイダーマン』を知っている人は多いだろう。

各社揃って『ファンタスティック・フォー』『ハルク』『デアデビル』『パニッシャー』『エレクトラ』など様々なマーベルコミックス原作の映画を製作するも、ほとんどは映画としての爆発的ヒットには至らず、持続的に続編が作られたのはこの『スパイダーマン』と現在まで続く『X-men』のシリーズぐらいだった。

 

映画は3作作られ「追加でもう3作作って6部作にしない?」と計画されたがサム・ライミ監督が辞退。主演のトビーもさすがに「若者」を演じる歳ではなくなってきたこともあり、企画は途中まで進むものの打ち切りになり、設定を新しくして始めからやり直すリブート作品として『アメイジング・スパイダーマン』シリーズが始動する。

(ちなみに途中まで製作が進んでいた『スパイダーマン4』のヴィランはヴァルチャーだったらしい)

 

死霊のはらわた (字幕版)

死霊のはらわた (字幕版)

 

 

ちなみにこの時期のディズニーは何をやっていたかというと、経営陣の派閥争いや交代のゴタゴタ、提携していたピクサーの好調と裏腹に天下のアニメーション部門は暗黒期に突入し。テーマパーク部門でカリフォルニア・パリ・東京に「第2パーク」をオープンするも(フランチャイズの東京以外は)予算が少なく業績不振、かろうじて実写映画の『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズが大ヒットしているという状況だった。

 

マーク・ウェブ版『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ 2012年〜2014年

アメイジング・スパイダーマン (字幕版)
アメイジング・スパイダーマン2 (字幕版)

 製作が進んでいた『スパイダーマン4』のサム・ライミ監督辞退を受け、これまでのシリーズを一旦白紙にして再始動するリブート作としてスタートしたのがこの『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ。

監督は『(500)日のサマー』で一躍有名となったマーク・ウェブ監督。『アメスパ』以降は『ギフテッド』などを製作、なんとハリウッド版『君の名は。』の監督にも任命された。

主演は『ソーシャル・ネットワーク』『ハクソー・リッジ』などのアンドリュー・ガーフィールドがピーター・パーカーを演じ、ヒロインには『ラ・ラ・ランド』『女王陛下のお気に入り』のエマ・ストーンがグウェン・ステイシーを演じる。共演後、ガチで付き合い始めたというのだからかなりお似合いの演技が観れるのもこの映画の醍醐味である(すでに破局)

コスチュームはよりギラギラ感が増し、蜘蛛の力で指から糸が出た前作とは異なりピーター自身がウェブシューターを開発する科学者としての一面も見せる。ピーター・パーカーの両親の「謎の死」について追求したりとミステリー要素もある、前シリーズよりもダークでシリアスとかなり毛色が違いながらも、恋愛ドラマを得意とするマーク・ウェブ監督ならではのストーリー描写も魅力的で根強いファンが多いのも本作だ。

 

 

 

一方で2008年にスタートした『アイアンマン』から始まる一連のシリーズ『マーベル・シネマティック・ユニバース』が2012年『アベンジャーズ』で人気が爆発、また同じく2008年はクリストファー・ノーラン監督によるバットマン(マーベルのライバル会社DCコミックス原作)のシリーズ2作目『ダークナイト』が大ヒットし、2012年はシリーズ完結作『ダークナイト・ライジング』が公開。

マーベルもDCも切磋琢磨しながらアメコミ映画ブームがより本格化するなかで『アメイジング・スパイダーマン』シリーズは当初ソニーが予想していたヒットには及ばず、3部作で予定されていたシリーズを2作で終了してしまう。

 

 

アイアンマン(字幕版)
アベンジャーズ (字幕版)
ダークナイト (字幕版)
ダークナイト ライジング (字幕版)

 

補足:DCコミックス 

DC 5フィルムコレクション(初回仕様/5枚組) [Blu-ray]

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 DCコミックスはマーベルのライバル(決して喧嘩しているわけではない)のヒーローコミック会社であるとだけ覚えていただければOK。

歴史的にはマーベル社よりも数年歴史が古く、スーパーマンとバットマンという超有名2大キャラクターを抱えている。DC自体がワーナー・ブラザースの完全子会社のため、早くからメディア展開で成功して現在の知名度と人気ぶりを得ている。

2005年〜2012年にクリストファー・ノーランの『ダークナイト』三部作が内容的にも興行成績的にも高い評価を得るも、その後リブートしMCUの後追いをする形でユニバース展開をしたためにいろいろとしっちゃかめっちゃかになっている印象。

オススメは『ワンダーウーマン』『ジャスティス・リーグ』『アクアマン』そして現在『シャザム!』が劇場公開中(もうすぐ終わっちゃうよ!)

(観たことなくて恐縮ですが『バットマンVSスーパーマン』もファンには人気が高いです)

 

 『マーベル・シネマティック・ユニバース』2008年〜

 

マイティ・ソー/ダーク・ワールド(字幕版)
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン (字幕版)
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(字幕版)
ブラックパンサー (字幕版)

 1990年代後半にマーベルがいろんな会社に映画化権を販売したのは最初にお話しした通り。

『スパイダーマン』や『X-men』の映画の大ヒットのおかげで経営も安定したマーベルは大きな賭けに出る。

「マーベルがマーベル自身で映画を作ったら?」

ここからスタートしたのが映画制作会社「マーベルスタジオ」

しかしながら人気のヒーローたちはとうの昔に他の映画会社に権利を売ってしまったため、残ったのはアイアンマンやソーなど、コミックファンしか知らないようなキャラクターばかり。

一方でコミックを知り尽くしたスタッフらが全力を尽くして製作することで映画はとてつもないスケールで、そしてとてつもないディテールで完成する。

『アイアンマン』のエンドロール後、突如現れたS.H.I.E.L.D.長官ニック・フューリーにより『アベンジャーズ』計画が語られ、様々なヒーローたちが同じ世界観で活躍する『マーベル・シネマティック・ユニバース』(Marvel Cinematic Universe:MCU)が爆誕する。

 

その後のシリーズの大盛況ぶりはご存知の通りである。

2009年にはマーベルコミックス自体がディズニーに買収され、コミックスの制作から映画制作・宣伝・配給・グッズ・テーマパーク展開に到るまでまで絶大な拡散力をもつようになる。

『ハルク』は権利をユニバーサルに残したまま『インクレディブル・ハルク』としてリブートされ、(映画ではなくドラマで展開されたが)『デアデビル』『パニッシャー』『エレクトラ』『ゴーストライダー』などの権利もマーベルの元へと戻ってきた。

 

そして2016年『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で"彼"が帰ってくる。

 

MCU版『スパイダーマン』2016年〜

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (字幕版)
スパイダーマン:ホームカミング (字幕版)
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー (字幕版)

2016年、アベンジャーズが2陣営に分かれて衝突する、コミックスでも人気のイベント『シビル・ウォー』がキャプテン・アメリカシリーズの最終作として実写映画化される。

この映画にはそれまで『アベンジャーズ』シリーズに登場したキャラクターに加え、ウィンター・ソルジャー、アントマン、そして本作初登場のブラックパンサー、さらに今まで権利上の都合で登場が絶望視されていたスパイダーマンが登場する。

 

本作でスパイダーマン=ピーター・パーカーを演じるのはトム・ホランド。

10代に見える若々しさと、止まらないおしゃべりはいかにもコミックスのスパイダーマンと言った感じであり、蜘蛛の糸は自ら開発したウェブシューターからという高校生ながら科学者要素も持ち合わせている。無印の『スパイダーマン』と『アメイジングスパイダーマン』のハイブリットのようなキャラクター性に加えて、アイアンマン=トニースタークが開発したスーツを身につけるという無敵感。

単独映画が過去に2回も作られた経緯から「もう説明しなくてもスパイダーマンは知ってるよね?」という大前提で進むテンポの良さと、過去作であれだけ必死に隠してきた正体がトニー・スタークにバレ(てい)るところが初登場シーンという意外性もあり、「馴染みがあるのに新しい」というめちゃくちゃバランスのいいスパイダーマンが誕生した。

 

『アベンジャーズ』や『シビルウォー』の後日譚的な軽快さで彼のヒーロー活動と日常生活での葛藤を描いた『スパイダーマン:ホームカミング』は制作マーベル・スタジオ(ディズニー)、配給ソニー・ピクチャーズにより2017年に公開された。

監督はジョン・ワッツ。

本作には『アイアンマン』のトニー・スターク、ハッピー・ホーガンなども登場し、配給は別ながらもMCU作品のひとつとしてしっかり位置付けられている。

 

また『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』にもスパイダーマンは再度登場し、6月28日日本公開予定の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』以降はアベンジャーズに変わる新ヒーローチームのリーダーとして、MCUの中核を担う存在になるのではと予想されている。

 

 

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スパイダーマン:スパイダーバース 2018年

アート・オブ・スパイダーマン:スパイダーバース (SPACE SHOWER BOOKS)

そして2018年(日本では2019年)に公開されたばかりの『スパイダーマン:スパイダーバース』配給はソニー・ピクチャーズ。

監督はボブ・ペルシケッティ/ピーター・ラムジー/ロドニー・ロスマン。制作に『レゴ・ムービー』を大ヒットさせたフィル・ロードとクリストファー・ミラーが参加している。

こちらは他の『スパイダーマン』映画と大きく違うのは「アニメ映画」だというところで、あまり混乱はしないと思う。

 

当然これまでのスパイダーマン映画とは設定が異なる。主人公はピーター・パーカーの意思を継ぎ2代目スパイダーマンとなったマイルス・モラレスである。

CGと手描き、そしてアニメ的表現とコミック的表現をミックスし、今までにない映像表現を生み出した他、ストーリーとしても歴代のスパイダーマン映画に劣らない完成度で「スパイダーマン映画至上最高傑作」と言わしめる作品である。

1作のみで容易に見れる映画でありながら、これまで歴代のスパイダーマン映画を楽しんできた層にもビビッとくる要素も盛りだくさん、そしてなによりこの記事で説明しているような「スパイダーマン映画っていろいろあってわけわかんないよね」という状況を逆手に取った作りになっており、この複雑な「スパイダーマン事情」の説明にもなっているというとんでもない映画である。

 

 ↓作品レビュー

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おまけ:『ヴェノム』

ヴェノム (字幕版)

『スパイダーマン』の映画化権を持っているソニー・ピクチャーズは、同時に『スパイダーマン』に登場するキャラクターたちの権利も持っている。

ということでスピンオフ的な立ち位置で登場したのがスパイダーマンに登場する悪役『ヴェノム』をダークヒーローとして主人公にしたこの映画。(『スパイダーマン3』に悪役として登場もしているが、もちろん設定はリセットされている)

監督はルーベン・フライシャー。主人公エディ・ブロックをトム・ハーディが演じる。

 

スパイダーマンは登場しないものの、ソニー的には「続編でトム・ホランドのスパイダーマンと共演させたい」意思も少しはあるようで、果たして今後どういう立ち位置になってくるかは謎。

エンドロール後には『スパイダーバース』の特別映像も流れ、本当に何がしたかったのか読めず混乱してしまった。

「ソニーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター」としてユニバース構想があり、スパイダーマンの悪役たちがチームを組む『シニスター・シックス』の映画化企画もあるようで今後の展開は見ものだが、DCコミックスのユニバースみたいに中途半端にならないかだけが不安である。

 

スパイダーマン映画はややこしい

と、いうわけで巷にあふれるスパイダーマン映画についてまとめてみた。

結果余計ややこしくなったかもしれないが、早い話が「スパイダーマンはいっぱいいるよ」ということなのである。

twitterで話題になっていたが「『金田一少年の事件簿』がドラマ化されるたびに配役が変わるのと一緒」というのがまさにその通り。

それぞれの映画にそれぞれの良さがあり、ヒットしたりしなかったりこそするものの、そのどれもがクオリティの高い作品ばかりなので見て損することはないと思って間違いない。

 

今度地上波放送される『スパイダーマン:ホームカミング』や劇場公開される『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は前述の通りMCUスパイダーマンのため、スパイダーマンのあれこれを追いかける以上にMCUの前提知識が必要な部分があるのでかなりハードルが高いが、スパイダーマン以上にマーベル映画作品を楽しむきっかけにもなると思う。

 

ただ今の所一番おすすめしたいのは『スパイダーマン:スパイダーバース』

アニメ映画としてもスパイダーマン映画としても、他の作品を凌駕する大傑作といって過言ではない面白さなので、是非とも楽しんでほしい。

blu-rayは8月7日発売。6月26日にデジタル先行配信開始。

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