【まとめ買い映画レビュー その3】『サウンド・オブ・ミュージック』

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まとめ買い映画レビューその3『サウンド・オブ・ミュージック』

ご存知ディズニー映画『メリー・ポピンズ』でメリー・ポピンズを演じたジュリー・アンドリュースの主演映画。

ミュージカル、ナニー、そしてジュリー・アンドリュースという共通点が3拍子揃った2作で、どちらも「ハッピーになれる映画」そしてどちらも「ちょっぴり苦い」映画というのも共通していると思う。

 

大昔に一度見た記憶こそあれ内容はかなり忘れていて、いつしか飛行機の機内モニタで見たときに寝落ちし、この度購入することで改めて鑑賞するきっかけとなった。

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『サウンド・オブ・ミュージック』

 お転婆な修道女マリアは修道院長からとある一家の7人兄弟の家庭教師を依頼される。

退役軍人のゲオルグ・フォン・トラップ元海軍大佐は、妻を亡くして以来7人の子供達をまるで軍隊のように厳しくしつけていた。が、子供達は父の気をひくためにいたずらばかりを行い、どの家庭教師も長く続かないでいた。

過剰なしつけと子供達のいたずらに戸惑うマリアだったが、子供達とはすぐに打ち解け、音楽を知らない子供達に音楽の基礎を教える。父の気をひくためにいたずらばかりしていた子供達は、歌を歌って父の気を引くことにした。

ゲオルグはマリアが勝手に作った遊び着で子供達を遊ばせていたことに激昂し、解雇を宣言するが、子供達の歌を聞き、死んだ妻と子供達との日々を思い出し心を開く。過剰な教育方針を改め、子供達に謝罪し、マリアに引き続き家庭教師を務めてもらうことにする。

合唱を聞いていたゲオルグの友人マックスは子供達の歌に惚れ込み合唱団として売り出すことを提案する。ゲオルグの婚約者エルザはトラップ邸で舞踏会を開き、子供達の合唱を披露するのはどうかと提案する。

ゲオルグは舞踏会に参加した地元の指導者からオーストリア国旗を降ろし、オーストリアを併合したドイツの国旗(ハーケンクロイツ)を掲げるように指示されるが苦言を呈したことで不穏な空気となる。

マリアはゲオルグとダンスをし、自らの気持ちに気づき戸惑う。エルザから「ゲオルグはマリアに気があるかもしれない」と打ち明けられ、二人の関係を壊すわけにはいかないと考えたマリアは置き手紙を残しトラップ邸を経つのであった。

 

ミュージカル史

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ハッピーな前半、社会性を交えた後半

物語は前後編に分かれている。

母を無くし、父親の英才教育に縛られる子沢山の家に家庭教師として潜り込んだ主人公マリアが、持ち前の明るさとおおらかさで家族に受け入れられ、合唱団を結成し凝り固まった関係をほぐす前半。

後半は第二次世界大戦直前の時代感を反映し、歌と明るさで成り立っていた家族の絆が思想統制により幸せを脅かされそうになる。

 

単純にハッピーに満ちた映画かと思いきやそこには一筋縄ではいかない「心あるものの心なきものへの抵抗」の描写が描かれ、意外にも社会派な内容になっている。

 

ただし、伝記を基にした実在の人物たちを映画いたミュージカルであるため、事実と相違のある社会派な内容に関して(また、まるで軍隊のような子供達へのしつけに関して)反論や批判も多くされる。

 

「ドレミの歌」「So long, Farewell」などのお遊戯会的楽曲が含まれているから子供向け、ナチ問題など社会的内容を含むから大人向けなどという単純な話ではなく、親と子が互いに信頼し心を許し合う語らいの重要性や、「死」という喪失に対する心の隙間の埋め方を再考するという点で全世代向けである。

ナチの問題に絡め、家族への抑圧、さらには長女リーズルの悲恋を描くことで、戦争がもたらす悲劇への強いメッセージを放っている。

 

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文句なしの楽曲群

『サウンド・オブ・ミュージック』という作品タイトルからして、この作品の楽曲群は素晴らしい。よほど曲に自信がなければこんなタイトルは付けられないだろう。

そして劇中曲のいくつもが我々が生活する中でCMだったり、音楽の教科書だったり、自然と触れ合える楽曲である。幼い頃から耳に馴染んだ懐かしいメロディが映画を通して再び輪郭と動きをもって蘇るのは実に感動的で、「ミュージカル映画入門編」としても非常に入りやすい作品だと思う。

 

それこそ「ドレミの歌」なんていうのは幼稚園児でも歌える楽曲で、大人から子供まで楽しめ、『サウンド・オブ・ミュージック』というタイトルを持つこのミュージカルの普遍性を体現していると言ってもいい。

どれほど世界的に有名な合唱団でも、歌手でも、最初はみな「ドレミ」の小さな要素から始まる。野球選手がキャッチボールから始めるように、宇宙船の製作が四則計算ができなければ話にならないように、どんな素晴らしい音楽も「ドレミ」のシンプルな音から始まる。

 

サウンド・オブ・ミュージック

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2019年に『サウンド・オブ・ミュージック』を語るのであるから、是非とも言及しておきたいのがアリアナ・グランデの「7 Rings」という楽曲について。

当初この曲が流れてきたときに「初めて聴く曲なのになんでこんなに聴き覚えが・・・?」と思っていたものだが、実はこの曲『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌「My Favorite Things」のメロディがまんま流用されている。

 

 

 

「心細いときには『お気に入り』を思い出そう」という楽曲で、なんとも不思議なメロディを思いつくものだ。

ただキャッチーにするだけではなく、不安定なメロディを取り入れることによって特徴付け唯一無二の味にする。製作から50年以上経った(舞台版の初演が1959年)現在でもなおポップ・ミュージックの文脈に引用されうる存在感を持つというのは素晴らしいことだ。

 

そのほかにも「I Have Confidence in Me」「Sixteen Going on Seventeen」「Edelweiss」など、映画を彩る楽曲群はどれも文句なしに素晴らしいものばかり。

それぞれが主人公マリア、リーズル(と恋人ロルフ)、父ゲオルグなどの主要キャラクターの心情を吐露する楽曲としてストーリー上の役割を果たしているのも当然ながら重要である。

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まとめ

個人的な感想としては、やはり一度途中で寝てしまったりしたこともあり、全力で楽しむにはそれなりの環境が必要な作品だと思う。

インターミッションを挟む174分という長さの映画、それでいてドラマ中心であるために見る側が「見る気持ち」をうまく作りこめていないとBGMと化してしまう可能性もある映画である。基本的には楽しいのだけれど、映画としてのテンポ感はやはり気になるところである。

 

同じく舞台ミュージカルを映画化した『ウエスト・サイド・ストーリー』でも似たような感想を持ったことがある。

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ドラマ感で言えば『WSS』の方が強く、楽曲の持つパワーで言えば『サウンド・オブ・ミュージック』の方が強く感じるが、1時間半、短ければ1時間程度で終わってしまうディズニーアニメーションのミュージカル映画に見慣れている私にとってはどちらも「長さ」を感じざるを得なかった。

そういう意味では『マンマ・ミーア!』などはコメディ要素が強いのもあるが、舞台版をコンパクトにまとめ飽きさせない作りにしてあり非常に観やすいなと改めて思う。

 

とはいえ、ここは個人の価値観によることろも強いと思うので、是非気負わずに見て欲しいところである。

個人的には是非とも映画館の大スクリーンで観てみたい映画だ。

 

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