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2023年ベスト級。新・実写版『ホーンテッド・マンション』悲しみにとらわれて、生きることを諦めるな。

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ホーンテッドマンション (オリジナル・サウンドトラック)

『ホーンテッド・マンション』(原題:Haunted Mansion)を見た!!!!

 

そもそも2003年に既に実写映画化され、結果的にあんまりパッとしない結果に終わった『ホーンテッド・マンション』を、どんな理由で再映画化するのか、そこに意味はあるのか・・・10年以上に渡る再映画化のプロジェクトの中で巨匠監督の降板劇などもあり、ディズニーファン的には期待3割、不安7割くらいで迎えた公開初日であった。

 

結果、これぞ見るアトラクションと言わんばかりの臨場感と、アトラクションの要素をうまく抽出し、エモさを感じさせながらも、「アトラクション」が主人公ではなくしっかりとキャラクターに感情移入させることのできる良作だった。

 

2003年版もディズニー映画らしい良さのある作品ではあったが、クオリティでちゃんとそれを超えてきてくれた。

ディズニーファン的色眼鏡も少なからずある、それくらい好きの要素が詰まりすぎた作品ではあるが、本当に「今年一番観てよかったディズニー映画」になっていた。(ディズニー映画以外では『バービー』です)

 

以下、色々と思うことを。

 

※当記事は映画『ホーンテッド・マンション』のネタバレを含みます。

 

目次

 

蘇る亡霊

2023年、世界のディズニーリゾートに存在するアトラクション『ホーンテッド・マンション』が再実写映画化された。

 

『ホーンテッド・マンション』は2003年に、アニメ版『ライオン・キング』の監督であるロブ・ミンコフにより、エディ・マーフィー主演で映画化されている。

当時のディズニーも、アトラクションからインスピレーションを受けて実写映画化するシリーズを展開しており、『パイレーツ・オブ・カリビアン』(2003)や『カントリー・ベアーズ』(2002)などの実写映画が生まれた。一方で興行収入的には『パイレーツ・オブ・カリビアン』以外はほとんど盛り上がらなかったといっていいだろう。

 

 

『ホーンテッド・マンション』はその後、『パシフィック・リム』や『シェイプ・オブ・ウォーター』の監督であるギレルモ・デル・トロにより再映画化の企画がスタートするが、ホラー要素の強すぎる展開によりディズニーが難色を示し計画は中断、脚本がリライトされ、新たにジャスティン・シミエンを監督に迎えて生まれたのが本作である。

2年前の2021年にドウェイン・ジョンソン&エミリー・ブラントのダブル主演で『ジャングル・クルーズ』が実写映画化されたのは記憶に新しく、また『トイ・ストーリー4』の監督ジョシュ・クーリーが脚本およびスカーレット・ヨハンソンがプロデュース兼主演を務め『タワー・オブ・テラー』が実写映画化されることも発表されている。

2000年代から20年の時を経て、再びディズニーアトラクション実写映画化の波が来ているわけだ。

 

 

話を『ホーンテッド・マンション』に戻すと、実は前作の発表された2003年と本作との間で、本家ディズニーランドに存在するアトラクションにも大きな変化が起きている。

 

それは2015年に登場した1体の亡霊、「ハットボックス・ゴースト」の存在である。

 

2015年にハットボックス・ゴーストがアナハイムのホーンテッドマンションに導入された時、ディープなディズニーファンは大興奮の渦に巻き込まれた。

 

頭部が突如消え、空っぽだった「ハットボックス(帽子入れ)」に頭部ごと収納されるというギミックをもったこの亡霊は、当初アナハイムの元祖ホーンテッド・マンション がオープンした1969年に既に導入されていた。

ところがその複雑なギミックのために動作がうまく機能せず、わずか数ヶ月で撤去され、突如消えてしまった「知る人ぞ知る伝説の亡霊」となっていたのである。

 

2015年に再度ゲストの前に姿を現したハットボックス・ゴーストは、以降ヒッチハイキングゴーストやマダム・レオタらに次ぐホーンテッド・マンションのアイコンとなる。

 

2010年からスタートしたギレルモ・デル・トロの『ホーンテッド・マンション』再映画化に際しても、ハットボックス・ゴーストがメインキャラクターとなることが決まっていたらしい。(むしろ、映画とアトラクションをリンクさせることを見越したアトラクションへの再登場だったと思われる)

 

結果的にギレルモ・デル・トロ監督は降板するに至ったが、映画を観た方は既にご存知の通り、この「ハットボックス・ゴースト」をメインキャラクターに据えるアイデアは本作にもしっかり引き継がれた。(しかもハットボックス・ゴーストはジャレッド・レトが演じているというのだからおもしろい)

 

幽霊屋敷をテーマにしたアトラクションで、ある日突然姿を消し伝説となったキャラクターというカルト的な要素、そしてそもそも他のゴースト達とは一線を画すギミックを持った不気味さ、ミステリアスさ。

2023年に新たに『ホーンテッドマンション』を映画にするにあたって、ハットボックス・ゴーストを蘇らせ、彼を本作のヴィランに据えるというのはディズニーファン的に完全な解釈の大一致であった。

本来アトラクションではHappy Hauntsであるはずの999人の亡霊たちが、どうして主人公たちを襲い恐怖のどん底に陥れるのか、というディズニーオタならではの疑問も、ハットボックス・ゴーストを起点として成立させてしまうというのも面白いな、と思った。

 

ただ彼の生い立ちにまで詳細な設定を映画で加えてしまったことは(その設定がアトラクションに持ち帰られる保証はないにせよ)ミステリアスな不気味さを楽しんでいた自分としては、少し残念でもある。

 

なおこのホーンテッド・マンションとハットボックス・ゴーストにまつわる話はディズニー+のドキュメンタリー「ディズニーパークの裏側ー進化し続けるアトラクション」の第2話でも語られているので、興味がある方は是非観て欲しい。

 

ニューオーリンズ映画

日本の東京ディズニーランドにもあるホーンテッド・マンションというアトラクションは、オリジナル版のアナハイムと、フロリダ、若干ストーリーとアトラクション名が異なるがパリにも存在する。

それらのアトラクションが存在するエリアは各地で異なっており、外観も異なる。

東京ディズニーランドはファンタジーランドに、フロリダはリバティ-・スクエアに、パリはフロンティアランドに存在する。

 

特に本作映画はアナハイムにある元祖の『ホーンテッド・マンション』をベースとしている。アナハイム版は「ニューオーリンズ・スクエア」というエリアにこのアトラクションが存在している。(ニューオーリンズ・スクエアは東京ディズニーランドではアドベンチャーランドの一部に組み込まれている)

建物の外観もニューオーリンズ風で作られており、本作の映画『ホーンテッド・マンション』も、舞台をニューオーリンズに設定し、建物の外観もかなり忠実にされた。

2003年版も同様にニューオーリンズを舞台にアナハイム版の外観を用いて映画が撮影されたが、本作はよりニューオーリンズを感じる演出が光る。

 

主人公はニューオーリンズのツアーガイドで生計を立て、オープニングの場面では東京ディズニーランドにも再現されているフレンチクオーターの魅力的な街並みを歩く。

『プリンセスと魔法のキス』にも一瞬登場する、かの有名なジャクソンスクエアも映る。

劇中は胸を高鳴らせるジャズが流れ、それがさりげなく「グリム・グリニング・ゴースト」の旋律だったりする。

 

ホーンテッド・マンションといえばニューオーリンズ。そんなディズニーオタにしか理解されない理屈で、ホンテ愛そしてニューオーリンズ愛を随所にちりばめながら、映画は進む。

 

 

孤独や悲しみにとらわれるな

ここまでは、前提の話。

ディズニーオタが喜ぶための要素をちりばめた映画であるということを語ったに過ぎず、映画の本質ではない。

 

では本質の部分はどうなのかというと、やはりそこもぐっと来て良かったのである。

 

題材が同じであるためどうしても比べてしまうが、2003年版でもうひとつと思った部分に、あまりにもコメディ要素が強いところが挙げられる。

そもそもエディ・マーフィーを主役に立ててコメディ要素がゼロなんてことはまずあり得ないにせよ、「ホラー映画」としても「コメディ映画」としても、そして「ホーンテッド・マンション」を題材とした映画としても完璧とはいえず、全体的に中途半端な感じがする作品だった。

 

なお本作は、もちろんコメディ要素も多く含みながらも、主演のラキース・スタンフィールドのキャラクター性も相まって比較的シリアスかつセンチメンタルな雰囲気を纏っている。

主人公ベン・マサイアスが抱える、「妻を失った」という心の傷を餌に、本作のヴィランであるハットボックス・ゴーストが彼を取り込もうとする。

 

ハットボックス・ゴーストと対峙した彼が、その心の傷を仲間達に吐露する場面は実にシリアスで、かつそれを仲間達が傷を癒すように笑いに変えていくシーンが非常に印象に残っている。

この物語は、心の傷ゆえに、ベン自身が生きていくことに意義を見いだせていなかったという本心。そしてその悲しみ乗り越えて「生きること」に向き合う、成長の物語でもあるのだ。そして「悲しみを乗り越える」ためには、仲間たちの支えが必要で、人は誰しも一人では生きていけないということを語っている。

 

孤独や悲しみにとらわれて、生きることを諦めてはいけない。

 

「死」や「亡霊」をテーマにしたこの映画で、シリアスながらも非常にポジティブなメッセージを放っている。

 

ヒーローにならないか?

本作はチームものであるのも魅力の一つである。

『オーシャンズ11』や『ワイルドスピード』よろしく、登場人物のケントの「チームが必要だ」というセリフから、チームを集めるシークエンスに繋がるのが良い。

集められた霊媒師のハリエットと、半ば自ら突撃して来た歴史学者のブルース。主人公のベンが本来の超常現象を改名する科学者としての本領を発揮しはじめる行動も良い。バックグラウンドで流れるのがスティービー・ワンダーの「Supersitition(迷信)」なのも皮肉が効いていて最高である。

家主のギャビーとその息子トラヴィスの合わせて6人でこのホーンテッド・マンションの謎に迫っていくのだが、その組み合わせのちぐはぐぶりも、やり取りの妙も面白い。

中でも牧師のケント、霊媒師のハリエットの2人は自身の存在にある種葛藤を抱えながら生きているのを、物語の中でうまく回収し成長へとつなげている。

 

また、トラヴィスと主人公ベンのやり取りは、彼らがお互いに、疑似家族的に癒しを与えるシーンとなっている。

ベンが愛する古いヒーローキャラクターのアクション・ガイの決め台詞が、スリッパを片手に「もういっぺん言ってみろ!(Say That Again!)」なのが、序盤で言及された時にはただのギャグシーンでしかなかったのが、なんとクライマックスでベン自身の決め台詞となって活きてくる展開には笑うとともに不思議な感動を覚えた。

 

アクション・ガイというキャラクターの、どことなくヒーローっぽくなさであったり、

ヒーローなのに武器がスリッパ、決め台詞もダサい、というギャグが、こんな風に活きてくるとは思わなかったし、またある種これは近年ディズニーの目指している「どんな人でもヒーローになれる」というメッセージとも取れる。

物語の序盤でケントがベンにいう「ヒーローにならないか?」の回収でもある。

 

ベタすぎる、けどこの展開は私には心地よく熱いものを感じた。

 

2023年ベスト級

正直、もともとディズニーオタの私であるからして、冷静な判断が下せるわけではないのだけど、ディズニーオタだからこそ裏切られる作品もあるわけで、そんな中この『ホーンテッド・マンション』は2023年ベスト級に面白くて好きな作品だと思った。

歴代のディズニー実写映画シリーズでもなかなかに面白いと思う。

 

もちろん完璧な作品ではないし、最後の墓場のシーンはもっと画をこだわって欲しかった部分もあり、一部ハリーポッターのホグワーツみたいな屋敷のシーンあったし、ヒッチハイキングゴーストやシンギングバスツはもっと目立って良かったんじゃないかな、と思ったり、館の管理人と犬がゴースト扱いになってたりと、ツッコミどころはある。でもそれは作品の良し悪しではないかな、とも。

 

なんにせよ、非常に見ていて「好き」の詰まった映画であった。

そして面白かった。面白い映画を見ると嬉しくなって色々と話してしまいたくなるので、時間を作ってやっとここに書けたことが嬉しい。

 

まだまだハリウッドの俳優や脚本家のストライキが長引きそうで、特に実写映画は製作が進まない現状ではあるし、ディズニー社も我らがアイガーの言動に暗雲立ち込めまくっているけど。

改めてディズニー好きだな!

ディズニー映画最高だな!ディズニーパークに行きたいな!

と思える作品でした。

 

皆さんも是非、劇場公開しているうちに。

 

 

 

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