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実写版『ホーンテッドマンション』怖くたっていい。もっと怖くてもいいのに。

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ホーンテッドマンション  (吹替版)

 

※当記事は2003年公開の旧実写版『ホーンテッドマンション』に関する記事となります。2023年版『ホーンテッドマンション』については以下の最新記事をご覧ください。

www.sun-ahhyo.info

 

 

実写版『ホーンテッドマンション』のリブートの噂が出ている。

 

theriver.jp

『パシフィック・リム』や『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロが監督で再映画化の噂が出ていたのは遥か昔の10年前、ということでおそらく企画は立ち消え、新たに始動しているのだろう。

まだ予想のレベルだが、来年2021年公開予定の『ジャングル・クルーズ』の実写版と同一世界観で展開されるんじゃないかというファンの予想もある。もしそうなったらパリの「ビッグサンダー・マウンテン」とかTDSの「タワー・オブ・テラー」とか、それこそS.E.Aの要素とか、その気になれば無限に展開できそうなので非常に楽しみである。

 

『ホーンテッドマンション』の映画版は2003年にディズニーにより一度製作されている。監督は『ライオン・キング』や『スチュアート・リトル』などのヒット作を飛ばしたロブ・ミンコフ。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『カントリー・ベアーズ』などと同じ、「ディズニーパークのアトラクションを映画化するシリーズ」のうちの1作であることは、このブログでも何度か紹介した通りである。

 

再映画化が実現するかは定かではないが、せっかくの機会なので2003年版『ホーンテッドマンション』をレビューしていきたい。

 

目次

 

全力でエディ・マーフィーなコメディ

東京を含めた世界のディズニーリゾートに点在するアトラクション『ホーンテッドマンション』は、999人のゴーストが住む屋敷に迷い込んだゲストを1000人目として迎え入れようとするダークライド型お化け屋敷のアトラクションである。

その外観や内装、ストーリーはアナハイム、フロリダ、東京、パリでそれぞれ微妙に異なっているが、基本的には同じアトラクションである。

幽霊が登場するホラーアトラクションではあるものの、根底にあるのは「死」をテーマにしたジョークと愉快さ、奇妙さ、そして「幽霊がそこにいる」と感じざるを得ないような、さまざまな仕掛けのディテールを楽しむアトラクションであり、本格的なお化け屋敷に比べると怖さはさほどでもなく、純粋に楽しめるというのが特徴でもある。

そのアトラクションを元にエディ・マーフィー主演で映画化したのが2003年実写版『ホーンテッドマンション』である。

 

この映画の特徴は、何と言ってもエディ・マーフィー映画であるということに尽きる。

全編にわたってコメディ色全開。

怖さがさほどでもない『ホーンテッドマンション』のアトラクションの映画化が、エディ・マーフィー色によりさらに中和され、「びっくり」はあれど怖くはない、良くも悪くもホラー要素ほぼなしの映画になってしまっている。

 

怖い怖くないの基準は人それぞれなので、判断が難しい部分もあるが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の骸骨船が大丈夫なら多分大丈夫でしょう。

小さなお子様がいるファミリー層でも非常に観やすい映画だと思う。

 

対象年齢不明

映画『ホーンテッドマンション』普通に面白い映画である、と思う。

前述の通り非常に観やすく、コメディでありながらストーリーもしっかりしており、舞台設定も当然魅力的(なんてったってホーンテッド・マンションだ)

 

一方で、観終わった後のどうしようもない物足りなさは感じてしまう。

 

本気でビビらせてやるぞ!という意志を感じるような、突き抜けたホラー展開はないし、かといって腹がよじれるほど笑えるようなギャグもない。

エディ・マーフィーが主人公だからヒロイックな展開も、あるにはあるがそれほどでもない。

 

じゃあ完全子供向けなのかというとそんな感じでもない。

主人公たちの娘&息子も登場し、屋敷で冒険を繰り広げはするのだが、

映画自体が屋敷の花嫁を取り巻くストーリーが根幹にあり、一歩間違えれば「寝取り展開」とも取られかねない。過激でもないが、アダルトな雰囲気はどことなく漂っている。

ヴィランの目的が「主人公の嫁(を使って呪いを解くこと)」である以上、必然的に主人公は旦那であるエディ・マーフィーになってしまう。

 

つまりは、大人向けにしては怖くもなく過激でもなく物語に深みがない、一方で子供向けにしては登場する子供達にスポットが当たりにく、感情移入もしづらい。

かといって、つまらないと切り捨ててしまうほど、つまらないわけでもない、「良くも悪くもディズニー映画」という感じだ。

 

オリジナル要素とアトラクションファンの一喜一憂

アトラクションという、言わば『原作』がある作品だからこそ、

ファンにはその映画のクオリティはとやかく言われがちである。

 

『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』は、アトラクションから想像力を膨らませ、全く違うストーリーに「ジャック・スパロウ」という全く新しいキャラクターを登場させた映画ではあったが、「アトラクションを映画に再現する」というディテールの部分以上に「そもそも映画としてめちゃくちゃ面白い」という部分でファンを納得させてきた作品だ。(そりゃあ、映画要素がアトラクションに逆輸入された時はさすがに一悶着あったが)

 

一方でこの『ホーンテッドマンション』である。

 

アトラクションの外観は東京ディズニーランドにあるそれではなく、カリフォルニアのアナハイム、元祖ディズニーランドにある元祖ホーンテッドマンションの外観を模している。

ストーリーは全くと言っていいほど異なるが、(東京版にはない)ホーンテッドマンション屋根裏の花嫁の部屋から話を膨らませたストーリーが基になっているのだろうか。

主人の首吊りから、壁紙から、中から何かが出てきそうなドア、雷で変化する肖像画、こちらを見つめ続ける胸像、マダム・レオタ(映画版ではなぜかマダム・リオッタ)と空飛ぶ楽器たち、墓地のゴーストたち、シンギング・バスツ、ヒッチハイキング・ゴーストなど・・・細かいアトラクション要素を拾っていくとニヤニヤが止まらず思わず「グッジョブ!」と言いたくなる。

 

オリジナル要素でいうと、墓地の地下の棺のシーンなんかは、完全オリジナル設定にも関わらず、「ホーンテッドマンション」を再現したどのシーンよりも怖く、やっぱりホーンテッドマンションで本格ホラーをやることの限界すら若干感じてしまった。

 

一方で終盤の雑さも気になるのである。

 

物語のクライマックス、計画が無に帰した本作のヴィランが怒りを爆発させ、屋敷中の亡霊が部屋に飛び込んでくる。

そこで主人公たちと亡霊たちのバトルが始まるかと思いきや、暖炉から謎の炎のドラゴンが現れ、ヴィランを連れて地中深くに引きずり込み、なんでか勝手に倒してくれる・・・。

とりあえず、何が起こったのか全くわからない。

 

そして物語はハッピーエンドへ。主人公一家はマダム・リオッタと楽しく歌うシンギング・バスツを連れて再び旅行へ。

エンドロールではなぜかゴリゴリのHIPHOPが流れる・・・。

 

もうこれは単にファンのつまらないわがままでしかないのだが、なんというか、僕個人との解釈違いがすごいエンディングだった。

シンギング・バスツに歌って欲しいのは、やっぱり「グリム・グリニング・ゴースト」であり、彼らには楽しく、そしてちょっと怖いキャラでいて欲しい。

そしてやはり映画のシメもヒップホップではなく「グリム・グリニング・ゴースト」のエンディングであって欲しかった。

 

ディズニー映画でハッピーエンドでないエンディングを期待するのは野暮というものだが、果たして『ホーンテッドマンション』を題材にした映画で、「屋敷から亡霊たちが消えるラスト」が果たしてハッピーエンドたり得るのだろうか、というのは疑問に残る。

これは多分、僕がアトラクション『ホーンテッドマンション』のファンだからだろう。

 

ファンが気持ちいいように、いろんな要素を再現してくれてはいた。

が、そもそも『ホーンテッドマンション』の主人公は『ホーンテッドマンション』であるべきなのだ。

999人のゴースト達が、人を襲うことなく、楽しげにワイワイやりながら、歌を歌いながら1000人目の入居者を待つ。

それが永遠に続くのが、僕が観たかった『ホーンテッドマンション』だ。

 

まとめ

いいセリフもあった。

 

劇中蜘蛛を怖がる息子に対し、主人公が言う。

 

「怖くたっていい。みんな怖いんだ」

 

と言う言葉。

 

「恐れること」というのは「恐れないこと」と同じくらい大事だと思う。

だからこそ勇気を振り絞ることができ、前に進むことができ、成長することができるのだから。

 

このセリフが特にストーリーに重要な意味をもたらすというわけではないが、

この映画の数少ない「ファミリー映画」を実感する場面でもあった。

 

映画『ホーンテッドマンション』いろいろ言いたいことはあるけど、

後半の雑さに目を瞑れば、まぁつまらなくはないですよ。

 

ただ、もっと怖くたっていいのにな。

ウォルト・ディズニーが手がけた『白雪姫』がそうだったように、大人も子供も引き込むためには、本気で相手を怖がらせる勇気が必要だと思う。

 

リメイク作は是非、本格ホラーでお願いします。

 

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