正直カンベアにわかです、こんばんは。近頃はスカイウォーカーの夜明けのネタバレが怖いですね。
昨年に引き続きCountry Bear Theater Blog Advent Calendar 2019に参加させていただくことにしました。
昨年はこんな記事で参加しました。
目次
『カントリー・ベアーズ』
『カントリーベアーズ』という映画をご存知だろうか。
2002年にウォルト・ディズニー・ピクチャーズにより製作された実写映画で、アトラクション「カントリーベア・ジャンボリー」をベースとして製作されたものである。
今までのディズニーは「映画製作をして、人気が出た作品をテーマパークのアトラクションにする」という手法を多く利用してきたが、この当時のディズニーは「ストーリー性のあるアトラクションを再創造して実写映画化する」という企画で映画が3作作られた。
そのうちの一つがみなさんよくご存知の『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(アトラクション「カリブの海賊」の映画化)である。3作作ったうちの『パイレーツ』のみが大ヒットしたために、その他2作は忘れ去られ、『パイレーツ』のみが独自シリーズとして発展した。
その後映画の要素が本家「カリブの海賊」に逆輸入された挙句、上海ディズニーランドにおいては映画版『パイレーツ』のストーリーを踏襲したアトラクションが誕生するという逆転現象も起きている。
その「アトラクション映画化シリーズ」の忘れられた2作のうちの、より忘れ去られているほうが、この『カントリー・ベアーズ』である。(もう1作は『ホーンテッド・マンション』)
もっと遡ると1997年に『タワー・オブ・テラー』というTVシリーズと、2000年に『ミッション・トゥ・マーズ』(アナハイムのディズニーランド、WDWのマジックキングダムにあったらしいアトラクション)という映画もあったらしい。
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ストーリー
なぜか人間と熊が平和的に共存する世界で、かつて大成功を収めたバンド、カントリー・ベアーズに憧れる主人公のベアリー。
彼は熊でありながら人間の子の養子として育てられていたが、ベアリーを愛している養父・養母はそのことを隠している。兄デックスからの嫌がらせにより自身の出自について疑問を抱いたベアリーは、自らの「本当の家族」を探すため、廃業したカントリーベア・ホールを目指す。
カントリーベア・ホールでは支配人のヘンリーが銀行家リード・シンプル(クリストファー・ウォーケン)から借金の取り立てで脅されていた。残り3日以内に借金を返済しないと、カントリーベア・ホールは取り壊されてしまう。そこへやってきたベアリーは、ヘンリーにカントリー・ベアーズの再結成とコンサート開催を提案する。
テンポの良さとノリノリのミュージカル
めちゃくちゃ展開が早い。
主人公ベアリーの一番最初のセリフがなんと、「ママ、僕って養子なの?」である。話が早い。
なろう系小説の禁じ手「なんだかわからないけどやるしかないようだな」を出すまでもなくどストレートに本題に入る。
それでも映画冒頭のドキュメンタリー風映像で熊のキャラクターに「カントリーべア・ホールへ行けば、違和感から解放された」というセリフを語らせる事で、人間の世界に溶け込むべアリーたちのようなクマの存在も、なんとなく違和感を感じているんだという説得力を与えている。
おかげで、始まって10分経たずにべアリーは家を出ることになり、カントリーベア・ホールへと到着するのだ。
どう考えても唐突すぎるきらいはあるが、この展開の速さの所々にしっかりノレる音楽が挿入されるため、飽きない。めちゃくちゃ見やすい。
しかもさりげなくブライアン・セッツァーとかガチなミュージシャンが参加しているので劇中歌の質は保証付だ。
劇中、エルトン・ジョンがエルトン・ジョン役で一瞬登場するが歌唱シーンは一切ないという無駄遣いっぷりもおもしろい。
アトラクションとの相違
『カントリー・ベアーズ』は「カントリーベア・ジャンボリー」を題材にしているが、やはり大きな改変も施されている。
ベアーズたちはアトラクションのオーディオアニマトロニクスよりもリアルな熊に寄せられていて、残念ながら顔は似ても似つかない。
登場キャラクターはヘンリー、ビッグ・アル、トリキシーのほか、ファイブ・ベアー・ラグズ からフレッド、ゼブ、テネシー、テッドの4人のみが登場する。(この4人がバンド「カントリー・ベアーズ」という設定である。ちなみにドラマーは人間)
そもそもメンバーが多い「カントリーベア・ジャンボリー」なので、ここらへんは苦肉の策といったところか。しかしファンにとっては(特にカンベアアドベントに参加するようなファンにとっては)推しの熊が登場しないor改変されているのは心苦しいところだ。
映画を観て「パークでしか出会えなかった愛おしい彼らに会える!」という気持ちには、とてもじゃないがなれない。
アトラクションでは失恋ソングで有名なぽっちゃりな熊のトリキシーは、本作では失恋しているのはテネシーで、彼と恋仲だったという設定になっている。
ヘンリーと相思相愛らしかったテディ・バラの登場はないし、アトラクションではイケおじのヘンリーは落ちぶれた支配人のおじいさん感がすごい。
テッドはサングラスかけてイケイケだし。
一方で、ちょっとしたセリフであるがフレッドが吹いているハーモニカが父の形見であるという設定が映画でも反映されていたり、それが「家族」を探し求めるベアリーのセンチメンタルな気持ちに響くようなシーンがありグッとくる。
ほとばしる低予算感
ストーリーも悪くないしテンポも良くて見やすい。「カントリーベア・ジャンボリー」の存在をひとまず忘れれば結構楽しめる。
けど何かもの足りなさを感じてしまうのがこの『カントリー・ベアーズ』である。
同時期の『パイレーツ・オブ・カリビアン』が、巨匠ジェリー・ブラッカイマーによって手がけられたことを差し引いても、『ホーンテッド・マンション』と比べてみても、作品から滲み出る低予算感は否めない。
監督のピーター・ヘイスティングスは英語版Wikiにすらページが存在しない。(TV版『カンフーパンダ』などで有名なプロデューサーらしい)
それこそ「ディズニー・チャンネル・オリジナルムービーかな?」くらいのチープさを感じるのだ。
本当にあのワンシーンのエルトン・ジョンのギャラで予算の全てが飛んでいったのではないかと思ってしまう。
いや、CGを多用してなかったり、アクション映画じゃないファミリームービーだからある程度は仕方ないかもしれない。
でもなんか編集も絶妙に甘い。
劇中カントリーベアーズたちがかつて使用していたツアーバスを利用しメンバーを説得する旅に出るのだが、途中で洗車場に入りバスは昔のような輝きを取り戻す。
が、撮影する順番を間違えたのか、時間軸が歪んだのか、綺麗になる前のはずのシーンで綺麗なバスが登場したり、もう洗車して綺麗になった後のはずなのにテッド説得のシーンでまだ汚れたままのバスが故障しているような映像が映る(バスから煙が上がっているが全く説明はないので、全く別のシーンを無理やり繋いだ可能性がある)
重箱の隅をつつくレベルじゃなく、普通に観ていてわかるレベルの大胆な時系列の歪み。矛盾点。再撮影や背景の合成の予算もなかったのだろうか。
また、全然関係ないが、ヴィランとして登場するリード・シンプル役のクリストファー・ウォーケンは本作の演技で2002年のゴールデンラズベリー賞助演男優賞にノミネートされた(『スター・ウォーズ EPⅡ/クローンの攻撃』のヘイデン・クリステンセンが受賞したため受賞はならず)
まとめ
カンベアアドベントの記事だから褒めたいんだけど結局平常運転で毒舌になっちゃった、てへぺろ!
いや、でも『カントリーベアーズ』はいいぞ。
ず〜〜〜っと観るの敬遠してたんですよ。blu-ray待ちだったのに一生出る気配ないし、評判もよくないしで。
それでも全然観れます。やっぱりTVシリーズとかで鍛えられた人たちが作った独特の面白さかな、と。チープさはご愛嬌。
公開順でいうと逆だけど、プロットは完全に『ザ・マペッツ』です。
ご丁寧にダイナーでのミュージカルシーンもあるし、既視感はかなりあります。
どっちが好き?とか、そういうのは俺に聞かないでくれ。
『カントリー・ベアーズ』結局DVDも買ったんだけど、今回はディズニーデラックスで観てしまったために実は未開封です、だって画質がHD画質なんだもん。
でも、観れてよかった!
っていうか本当に意外と悪くないですよ、『カントリー・ベアーズ』
『ホーム・アローン』とかのファミリームービーを見るような独特な懐かしさがあっておすすめです。夏っぽい映画ですが、クリスマスにでもぜひ。
カントリー・ベアーズ オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
- アーティスト:サントラ,ジョン・ハイアット,E.G.ダイリー,ドン・ブレワー,ブライアン・セッツァー’68・カムバック・スペシャル・ウィズ・スティーブン・ルート,ザ・バーズ,エルトン・ジョン,ジェニファー・ペイジ,クリスタル・マリー・ハリス
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・レコード
- 発売日: 2003/04/16
- メディア: CD