ディズニー系カヴァーアルバムは数多くあり、どれを手に取ればいいかわからないことが多い。
そんななかで僕が初めて手に取ったのが『MOSH PIT ON DISNEY』というアルバムだった。
2004年ごろにキングダムハーツがきっかけでガンガンディズニー映画を見ていた僕は、同時にBUMP OF CHICKENとかがきっかけで『ロッキング・オン・ジャパン』とかを読むようになっていた。
『ロッキング・オン・ジャパン』(通称「ジャパン」)は株式会社ロッキング・オンが発行する邦楽情報雑誌で、「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」のような夏フェスもこの会社が運営している。
ある日「ジャパン」を読んでいた僕は、とある広告(?)を目にする。
ジャパンなどでよくインタビューされているアーティスト、この場一回限りの企画グループ、また海外のロックアーティストを集めた「ディズニーのカバーアルバム」がエイベックスから発売されるというのである。
ACIDMANが「equal」でミュージックステーションに出演して(これも2004年)、ACIDMANやthe band apartなども聴くようになっていたタイミングで楽曲もディズニーということだったので俄然興味を持った。
店頭で見つけなけなしのお小遣いでそれを買った。
そんな『MOSH PIT ON DISNEY』の素晴らしさを皆さんにも知ってもらいたい。

- アーティスト: オムニバス,The Miceteeth,Oi-SKALL MATES,THE VANDALS,American Hi-Fi,ヒダカトオル,TGMX,Doping Panda,BRIAN SETZER,SEXER,KENZI MASUBUCHI
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・レコード
- 発売日: 2004/07/28
- メディア: CD
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目次
参加アーティストと概要
モッシュ(英: mosh)とは、主にロックコンサートにおいて見られる現象の一つ。興奮した観客が密集した状態で無秩序に体をぶつけあうこと。
(中略)
大規模なモッシュが発生した場所はモッシュ・ピットと呼ばれる。2013年2月にコーネル大学の研究所が発表した論文において、モッシュ・ピットは「気体のような無秩序な運動状態」と定義されている。
(抜粋:モッシュ - Wikipedia)
「ディズニーのモッシュ・ピット」ということで、このアルバムはロックアルバムである。
ロックといっても多種多様なので、ゴリゴリのハードロック、パンク、ダンスミュージック風のものや、サンプリングを多用したものや、スカのような管楽器を用いたもの、ジャズっぽいものまで様々である。インストもある。
邦楽参加アーティストはLOW IQ 01、ACIDMAN、the band apart、ASPARAGUS、The Miceteeth、Oi-SKALL MATES、DOPING PANDA、CUBISMO GRAFICO FIVE、YOUR SONG IS GOODなど、洋楽参加アーティストはAndrew W.K(兄貴)、Reel Big Fish、Brian Setzer、Smash Mouth、American Hi-Fiなど。
選りすぐりのミュージシャンが集まり、このアルバムのためだけに結成した企画グループもある。
全23曲(イントロダクション含め24曲)なので全アーティストを詳しく紹介することは割愛するが、すでに解散して今は別のバンドをやっているという人たちもいるので、興味のあるアーティストがいないかはご自身でチェックしてみて欲しい。
選曲が最高、アレンジも最高
もちろんど定番の選曲もありますが、ちょっとマニアックな選曲もあります。
まぁそもそもマニアックな音楽をやっている人たちは、ディズニー映画を見ていてもマニアックなところに目がいくことも多いのかもしれない。
っていうか普通にオタクしててもなかなか出会うまでに時間のかかる曲とかもありますからね。
ということで、ど定番の曲も含め収録曲から僕のオススメをちょこっと紹介します。
A WHOLE NEW WORLD / LOW IQ 01
映画「アラジン」から「A WHOLE NEW WORLD」のカヴァー。おしゃれです。
シンプルなアレンジながらも原曲の良さをきちんと活かしつつ、後半はアップテンポに畳み掛けます。
いやもうおしゃれ。
COLORS OF THE WIND / ACIDMAN
映画「ポカホンタス」より。この選曲!ディズニーファンにしてみればかなり知名度は高いですが、一般人にとってはそうでもないと思います。
そもそもACIDMANというバンドはずっと自然やら世界の環境破壊や生命の神秘をロックに歌って来たバンドです。そんなバンドがこの選曲というだけでピッタリだし、アレンジで完全に彼らの楽曲にしてしまっていて、「カヴァーとはこうあるべき」と思わせられます。
ちなみに普通に彼らのオリジナルアルバムにも収録されていて違和感ゼロ。

- アーティスト: ACIDMAN
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2008/04/16
- メディア: CD
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GIVE A LITTLE WHISTLE / the band apart
映画「ピノキオ」から。
the band apart通称バンアパ。削ぎ落としたシンプルなロックサウンドでダンスミュージックをやるバンドです。ヘヴィメタ出身のバカテクメンバーが、決してゴリゴリではないめちゃくちゃ繊細な展開を繰り広げるのが魅力。
そんなバンアパが「口笛吹いて!(ピヨョ)」をカヴァーします。
おんなじ曲だとは到底思えないのに、歌が始まるとちゃんとGIVE A LITTLE WHISTLEなのがおもしろい。
THE AGE OF NOT BELIEVING / The Miceteeth
もう解散してしまった大阪のスカバンド、マイスティースによるカヴァー。
曲はなんと実写映画「ベッドかざりとほうき」からメインテーマ曲「THE AGE OF NOT BELIEVING」映画もマニアックだし曲もマニアック!
原曲の良さを活かしながら、独特でクセのある歌い方が気持ち良いです。このアルバムの中でも屈指の良さ。
I'LL TRY / TGMX
「ピーターパン2/ネバーランドの秘密」から「I'LL TRY」をこちらもダンスミュージック風なロックが得意なFrontier BackyardのTGMXがソロでカヴァー。
目立たないけど楽曲の良さを引き立てます。ポップめなアレンジに内包されるセンチメンタルな感じがなんとも。
EV'RYBODY WANTS TO BE A CAT / Brian Setzer
洋楽も紹介しておきます。ロックギタリスト、ブライアン・セッツァーによるカヴァー。曲は映画「おしゃれキャット」からです。
ちなみにブライアン・セッツァーは昔「ストレイ・キャッツ」ってバンドやってたんですけどね。
もともとこのアルバムのためにカヴァーされた曲ではないのですが、大人の事情なのか収録されています。
原曲がかっこいいのもあるけど、しっかりと味のある出来で、さすがブライアン・セッツァー。
GOOD COMPANY / CUBISMO GRAFICO FIVE
「オリバー/ニューヨーク子猫ものがたり」より「GOOD COMPANY」こちらも隠れた名曲です。
ポップで楽しげなアレンジが施されており聞けば幸せになれること間違いなし。
オリジナルはピアノで弾かれているイントロがシンセサイザーで「ポポポポ...」という音になっていて、なんかパステルカラーの風船が舞うイメージです(なんだその例え)
意味わからないことを言わせていただくと「インスタ映えする楽曲」
PART OF YOUR WORLD / The Suemith
のちにSUEMITSU & THE SUEMITHとしてデビューするThe Suemith。
アニメ版「のだめカンタービレ」のオープニングとかやってた人です。
ピアノを前面に出しつつ「ロック」を体現する姿勢は洋楽で例えるとBen Foldsのような力強さがあります。
ピアノが中心ながらも、焦燥感溢れる青い感じのロックになっているのが原曲のメッセージ性とも相まってかっこよく、そしてこれくらいラフに歌い上げるアレンジでもしっかり味が出るのはやはり元の楽曲が素晴らしいからなのかもしれないと、もはや全方面に素晴らしいです。
残念なところ
基本的には万々歳の音楽。
曲もいいのですが、「リロ・アンド・スティッチ」楽曲の選曲には苦言を呈したい。
今回「リロ・アンド・スティッチ」楽曲として収録されているのが「CAN'T HELP FALLING LOVE」と「HEARTBREAK HOTEL」なわけですが、これどっちもエルヴィス・プレスリーがオリジナルなんですよね。
カヴァーとしてもいい曲だし、エルヴィスは僕も好きなんだけど(スティッチがきっかけで聴き始めた)ディズニーのカヴァーアルバムに突っ込むのはどうなの?と思わないこともありません。
やっぱりハワイアン・ローラー・コースター・ライドとかさぁ、そっちが聴きたいよ。

リロ・アンド・スティッチ オリジナル・サウンドトラック 1&2 デラックス・エディション
- アーティスト: ディズニー
- 出版社/メーカー: AVEX GROUP HOLDINGS.(ADI)(M)
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: CD
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その他オススメのアルバム
カヴァーアルバムは「MOSH PIT ON DISNEY」以外にもたくさんあります。
というわけでさらにいくつかご紹介!
DIVE INTO DISNEY

- アーティスト: オムニバス,オイ・スカルメイツ,DOPING PANDA,4106-YUKI-TDC-MASA(SPOONY),RUDE BONES,Tsutchie feat.Mayu Kitaki,BEAT CRUSADERS,スナッフ,リール・ビッグ・フィッシュ,H2O,ザ・バンド・アパート
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・レコード
- 発売日: 2002/10/30
- メディア: CD
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こちらは「MOSH PIT ON DISNEY」の前作に当たる企画盤。
Snuffによるパンクアレンジ、しかも日本語の「YO HO」(アトラクション「カリブの海賊」)とか、DOPING PANDAの「GO THE DISTANCE」(ヘラクレス)やASPARAGUSが「クリストファーロビンを探せ!」曲のカヴァーをしていたり本作に劣らずの内容の濃さ。
Disney Rocks 〜!&!! Complete〜
ヴィレッジヴァンガード限定で販売された「Disney Rocks!」「Disney Rocks!!」をまとめたもの。
[Alexthandros]になる前の[Champagne]による「Supercalifragilisticexpialidocious」(メリー・ポピンズ)がめちゃくちゃかっこいい。the chef cooks meの「Bibbidi-Bobbidi-Boo」(シンデレラ)、OCEALENE「Beauty and the Beast」(美女と野獣)大橋トリオの「Winnie the Pooh」(くまのプーさん)が最高です。
V-ROCK Disney

- アーティスト: V.A.,CASCADE,ペニシリン,Plastic Tree,THE KIDDIE,NIGHTMARE,ニンジャマンジャパン,河村隆一
- 出版社/メーカー: WALT DISNEY RECORDS
- 発売日: 2011/09/14
- メディア: CD
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ヴィジュアル系バンドによるディズニーカヴァーという一風変わったコンセプトのカヴァーアルバム。
もう何と言ってもナイトメアがすごいです。
イントロの「The Sorcerer's Apprentice」(ファンタジア)と2曲目「FRIEND LIKE ME」(アラジン)をカヴァーしていますがこの2曲のために買ってもいい出来。
それから河村隆一の「BEAUTY AND THE BEAST」(美女と野獣)Plastic Treeの「CHIM CHIM CHER-EE」(メリー・ポピンズ)とDASEIN「YOU'LL BE IN MY HEART」(ターザン)が最高。
コミカルなアレンジの曲もあり、ヴィジュアル系って幅が広いんだなぁと思わせられました。
We Love Disney
洋楽はこれ。メジャーどころが多いので聴きやすいです。
やっぱりNe-Yoの「FRIEND LIKE ME」(アラジン)が最高でしょ。
アリアナ・グランデの「Zero to Hero」(ヘラクレス)も、可愛らしくていいです。
さりげなくマペッツの曲が入ってるのもいいですね。
まとめ
ディズニーのカヴァーアルバムはいいぞ。
オリジナルに忠実な曲もいいし、アレンジしまくって自分の曲にしているのも魔改造して原型とどめていないのも、どれも実に面白くて最高なのです。
今回紹介したもの以外にも、僕がまだ手をつけてないようなカヴァーアルバムはたくさんあるので是非に!
関係ないけどシェフ・ミッキー行くとディズニーカヴァー聴きたくなるよね。
それでは!
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