3年前、スピッツの曲を3回にわたり30曲ほど紹介した。
その後2019年にスピッツのサブスク配信がスタートしたため、お気に入りの曲でのプレイリスト作成がより容易になったことから、
気づけばスピッツのお気に入り50曲入りプレイリストが4つも完成してしまった。
50曲編成のスピッツのプレイリスト(全て違う曲)が4つもできてしまいました。 pic.twitter.com/lHvUBAFQ3o
— すん☂️ (@s_ahhyo) August 21, 2020
もうなんか、スピッツの好きな曲全曲紹介してもいいんじゃない?という気持ちにすらなってきた。
当時最新アルバムは『醒めない』とかシングルコレクションの曲たちだったし、それから『見っけ』も配信シングル『猫ちぐら』『紫の夜を越えて』も発表されたし、発売済みの作品でもまだまだ触れられていない曲がたくさんある。
正直30程度では紹介しきれないのがスピッツの名曲たち。
もう数回、やろうと思うので、付き合ってください。
あとこれ、別にランキングとかではないので、
ただ順番に聞くといい感じになるかなとは思って組んでるので
よかったらプレイリストにして聴いてみてください。
前回。
目次
- 目次
- 醒めない(15thAl『醒めない』収録)
- 優しいあの子(42ndSg『優しいあの子』・16thAl『見っけ』収録)
- 小さな生き物(14thAl『小さな生き物』収録)
- 三日月ロック その3(28thSg『スターゲイザー』・SPAl『おるたな』収録)
- 冷たい頬(18thSg『冷たい頬』・8thAl『フェイクファー』収録)
- インディゴ地平線(7thAl『インディゴ地平線』収録)
- ロビンソン(11thSg『ロビンソン』・6thAl『ハチミツ』収録)
- メモリーズ・カスタム(9thAl『ハヤブサ』収録)
- バニーガール(13thSg『チェリー』・7thAl『インディゴ地平線』収録)
- 不死身のビーナス(5thAl『空の飛び方』収録)
- まとめ
- ブログ記事:スピッツ
醒めない(15thAl『醒めない』収録)
15thアルバム『醒めない』の一曲目「醒めない」です。
なんかドラマの主題歌にも使われたみたいですね。
この曲の素晴らしいところ。
翌年2017年に30周年を迎えるというバンドの、もうかなりベテランに差し掛かるこのタイミングで、この「青さ」で勝負できるのか、という驚きですかね。
「嬉しくて上ばっか見ちゃうよ」「さらに育てるつもり」「さらに解き明かすつもり」
という、どっしりと腰を据えているように見えるスピッツの、
まだまだ挑戦し続ける姿勢がかっこいい。
ロック原体験のような歌詞も、イントロが「チェリー」を思わせる感じなのも、
若い頃を俯瞰して、きちんと糧にしているというか。
過去の若々しさとか苦々しさは、ちょっと恥ずかしいけどそれはそれとして、
あの時に感じていたスピリットは大切に、これからももっと成長し続けるよというメッセージが込められたような曲に感じます。
いつも通りのスピッツという感じでもあり、
それでも尖りながら「ロック宣言」してくるんですよね。
優しいあの子(42ndSg『優しいあの子』・16thAl『見っけ』収録)
NHK連続テレビ小説『なつぞら』の主題歌となりました「優しいあの子」
本当に草野マサムネのソングライティングセンスに脱帽する。
軽快な滑り出しのAメロBメロから、サビで音数を減らすことでゆったりと聞かせる、なにこの貫禄!!と思わせる流れ。
で、極端な話をしてしまえばこの曲のサビの歌詞
「優しいあの子にも教えたい」と「ルルル」だけなんですよね。
この潔さよ。
映画でも漫画でも小説でも、言葉を使う芸術ってなんでもそうだけど、
言葉を減らすっていうのはそれだけ「伝える」という点において複雑さが増していくし、表現の範囲が狭まるということなんで、難しいんですよね。短歌や俳句がそうであるように。
そこをメロディーの美しさとかでしっかり補いながら、シンプルに伝えていくのが本当にかっこいい。
サビが「ラララ」だけだった「水色の街」(シングル曲/AL『三日月ロック』収録)という曲もありますが、
あれから15年、「水色の街」の100倍はキャッチーにしてしまうという。
「渚」にしろ「スカーレット」や「遥か」や「みなと」やこの曲、どれもそうだけど、
本当に勝負しなくちゃいけないシングル曲で攻めいていく姿勢、挑戦していく姿勢がすごいなと思わされます。
小さな生き物(14thAl『小さな生き物』収録)
このアルバムは東日本大震災の後に最初に発表されたアルバムとして、重要な意味を持つアルバムだったんですけど、このコロナ禍を経てまた違った意味を持つ曲になってきたなと思わされます。
草野さんは、あんまり政治的なスタンスを明確にするような人ではないんですけど
『ハチミツ』に収録された「愛のことば」なんかは明確に反戦の歌だなと思わせられる曲なんですよね。
じゃあ「小さな生き物」はというと、まぁこれ僕の勝手な思い込みなのかもしれないですが
「深く掘って埋めても 無くせないはずだから」
という歌詞にいくつかの意味を背負わせてるんじゃないかなと思っていて、
一つは震災を経てより深刻になった、原発の問題とかを言ってるんじゃないかと。
「平和」っていう途方も無い希望を、斜に構えた人たちからバカにされる「アホな夢」としながらも、それを愚直に追い求める、そういう草野さんの優しさと正義感が詰まった曲に聞こえます。
三日月ロック その3(28thSg『スターゲイザー』・SPAl『おるたな』収録)
この曲は紆余曲折あったみたいなんですが
『三日月ロック』というアルバムを制作していた頃に「三日月ロック」というタイトルの曲を作ろうとしていくつか出してきた案のうちの3つ目、ということで「三日月ロック その3」というタイトルになったそうです。
結局『三日月ロック』には収録されず、ライブではそれなりに披露されてたみたいですが「スターゲイザー」をシングルとして出す際にカップリングで収録。
「スターゲイザー」が収録された『色々衣』には収録されずにその後スペシャルアルバム(カップリングやカバー曲、未発表曲集)『おるたな』に収録される、という流れです。
草野さんが「月」というワードを使うときはなんとなく男性器を連想させるのですが(「月に帰る」はちょっと違うけど)
「三日月ロック その3」はマスターベーションの曲かな?と勝手に思っています。
「グラスホッパー」(『ハチミツ』収録)という曲に「こっそり二人 裸で跳ねる」という歌詞がありますが、それがセックスの暗喩だとすれば「いつか跳ねたいな」はそういうことでしょうし、そうすると「三日月ロック その3」は完全に片思いの曲になりますので、やっぱ考えれば考えるほどそういう曲にしか聞こえません。
なのに爽やかなギターロックのサウンドで決めているというのもかっこいい・・・。
冷たい頬(18thSg『冷たい頬』・8thAl『フェイクファー』収録)
シングル曲「冷たい頬」です。
もう名曲ですよね。
「「あなたのことを深く愛せるかしら」」という導入だったり、
「あきらめかけた楽しい架空の日々に 一度きりなら届きそうな気がしてた」
「さようなら僕の可愛いシロツメクサと 手帖の隅で眠り続けるストーリー」
という歌詞なんかはもうスピッツの曲の中でも上位に入るレベルでいい歌詞だなと思います。
シロツメクサはクローバーのことで、花言葉は「幸運」のほかに「私のものになって」というのもあるそうです。(「復讐」とかもあるそうですがここでは無視)
こちら曲の展開の仕方としては、先ほど紹介した「優しいあの子」の逆パターンというか
すごく切ない曲に聞こえるAメロからの、めちゃくちゃポップなサビ
それなのに、全体にまとわり付いている「暗さ」というか、「喪失感」や「死」を感じる雰囲気はそのまま消えないんですよね。あんなにポップでキャッチーなのに。
インディゴ地平線(7thAl『インディゴ地平線』収録)
「インディゴ地平線」めちゃくちゃヒットした「チェリー」が収録されたアルバムの表題曲。
「チェリー」がめちゃくちゃヒットしている絶頂期とも言える中で、
「逆風に向かい手を広げて」とか
「僕たちは希望のクズだから」
「歪みを消された 病んだ地獄の街を 切れそうなロープで やっと逃げ出す夜明け」
「凍りつきそうでも 泡にされようとも」
というめちゃくちゃネガティブなワードを連発してくるあたり、草野さんのひねくれぶりというか、このバブル的人気に疑心暗鬼になっている感じが伝わってくるような、来ないような。
全体的にファンタジー色が強く、その分草野さんの詩的センスがばちばちに光っています。
曲調的にも全体的にフラストレーションを感じるような雰囲気ながら、
それに対して「自分たちはこうだ!!」と攻めていくというよりは
脱力した諦めのようなものが感じられるこのドロドロ感、めちゃくちゃ癖になります。
初期の『スピッツ』『名前をつけてやる』『惑星のかけら』とかに入っていても違和感がない感じの曲というか。もうちょっとシューゲイザー風なアレンジでも雰囲気が出そうですね。
ロビンソン(11thSg『ロビンソン』・6thAl『ハチミツ』収録)
はい今更紹介するでもないとてつもない名曲「ロビンソン」です。
シングル単体としては「チェリー」よりも売れていて、スピッツ最大のヒット曲になっています。
歌詞やメロディが最高すぎることは誰もが理解していると思いますし、
歌詞がストーカーを思わせる、というのも都市伝説的にいろんなところで話されています(僕もそう思います)
なので今回僕が推したいのはやっぱりイントロのギターフレーズですね。
このイントロのアルペジオはスピッツで一人だけ(見た目の)音楽性が違うといじられがちなメンバー三輪テツヤさんが作ってきたもので、
このアルベジオがなかったらロビンソンはここまでヒットしていなかっただろうと言われています。
テツヤさんは見た目こそあんな感じですが、あんまりギタリストとしてガンガン前に出たりゴリゴリのギターソロを弾くタイプではなく、繊細なアルペジオが大好きという人で、制作当時も「もっとギターが前に出る曲を作ったほうがいいのかな・・・」とかなり試行錯誤していたそうで、
そんな中この「ロビンソン」が生まれ、大ヒットし、自分のギタースタイルに確信が持てたそうです。
確かにこのフレーズがあるのとないのとでは曲のイメージも大きく変わってくるだろうし、イントロを聴いた瞬間「ロビンソンだ!」ってわかる、とても印象的なフレーズです。
草野さんの歌詞の世界観をもう一段階押し上げる、切なく、唯一無二のアルペジオだなと思います。
メモリーズ・カスタム(9thAl『ハヤブサ』収録)
続いては「メモリーズ・カスタム」
22ndシングル「メモリーズ」のアルバム・バージョンなのですが、
アルバム『ハヤブサ』のプロデューサー石田ショーキチにより大サビが付け加えられ、
アレンジを通り越したリメイク、別の曲として生まれ変わりました。
ライブで演奏されるのは完全にこちらの方になっていますね。
当時のスピッツはそれまでと一転して、原点回帰的なハードロック・グランジロック路線になり、この「メモリーズ・カスタム」も強くその影響を受けています。
メロディーよりもノリを重視して、「ライブで盛り上がる曲」を意識して作られたというだけあって、夏フェスを含めライブではほぼ毎回披露されるので、スピッツのライブに行きたい人はぜひ聴いておいてください。
そして、オリジナルの「メモリーズ」にはない大サビ部分のエモさはマジでテンションが上がります。
バニーガール(13thSg『チェリー』・7thAl『インディゴ地平線』収録)
「チェリー」のカップリングで「バニーガール」
チェリーとは一転、ポップですがかなりアップテンポ。
軽快なギターの音がノリノリにさせてくれます。
そして、こちらもおそらく片思いの歌だろうな、という感じなのですが、非常に前向きでポジティブ。
「光のシャワーを闇に向けた」
「俺もまたここで続けられそうさ」と
『ハチミツ』収録の「ハチミツ」や、同アルバムの「初恋クレイジー」の時のような、恋をすることで世界が一変してしまった男の子の世界観が非常によく表されています。
一方で
「青いカプセルを噛み砕いた」とか「君に消される」とか「ゴミ袋で受け止めて」とか不穏な歌詞もちらほら登場するのがスピッツらしいです。
不死身のビーナス(5thAl『空の飛び方』収録)
『空の飛び方』より「不死身のビーナス」
なんていうか、すごくポジティブな別れの曲ですね。
僕は映画の『ラ・ラ・ランド』が好きすぎるのでもういろんなところにアホみたいに名前出すんですけど、『ラ・ラ・ランド』のラストシーンのセブとミアの気持ち、みたいな曲です。
「最低の君を忘れない おもちゃの指輪もはずさない」
ですよ、エモいしかっこいい。
紆余曲折あって別れることになったけど、二人で作った幸せな思い出は嘘じゃないし、大切にしていこうというような、すごく前向きに聞こえる曲です。
曲調は軽快で、ギターのイントロがバリバリに冴えていて印象的だし、かなりキャッチー。
スピッツのシングル曲はスローテンポかミディアムテンポの曲が多いので、さっきの「バニーガール」とかとあわせて聴くと、こういうアップテンポの曲もあるんだ!ともっとスピッツが好きになるかもしれません。
まとめ
Spitz is good.
というわけで、スピッツのおすすめ10曲、
今まで紹介した曲もあわせて40曲紹介しました。
今回はシングル曲・表題曲やPVのある曲が多かったり、ライブで披露されることが多い曲がおおかったので、ある程度スピッツ好きな人はみんな知ってる感じでしたかね。
逆に、これからスピッツのライブに行ってみたいみたいな人には結構いいんじゃないかなと思える10曲ですね。まぁ今までの選曲もそうだけど。
とりあえず、スピッツ好きは止まりませんし、
スピッツ自身も全然止まる勢いがないので、
今後も定期的にやっていこうと思います。
スピッツはいいぞ。
ブログ記事:スピッツ